TPP交渉参加に反対する
東北6県生協連合会会長連名の声明発表
東北6県の生協連合会の会長は9月7日、連名で「TPP交渉への日本の参加に反対する共同声明」を発表しました。そのうちの1人、宮城県生協連合会の齋藤昭子さん(会長理事)に、TPP(環太平洋経済連携協定)のこと、震災復興のこと、そして生産者への思いなどについて話を聞きました。
※宮城県生協連合会の会員生協数は16、組合員数合計は105万4000人、事業高合計は1109億円
宮城県生協連合会・会長理事
齋藤 昭子さんに聞く
“顔と暮らしの見える産直”壊すTPPの反対声明に続き行動を
――東北6県の生協のみなさんが「TPP反対の共同声明」を出されて、生産者にとっても本当に心強い限りです。
反対の理由は3つです。一つは食料自給率のこと、二つ目は、農林漁業が地域経済に果たしている役割、そして三つ目が、大震災の復旧・復興に取り組む農林水産業への影響です。どれをとっても、わたしたち消費者の暮らしを困難にすることばかりです。そして、私たちが「安心しておいしい食品が食べたい」と進めてきた“顔と暮らしの見える産直”もできなくなってしまいます。
東北6県の生協がそろったのは、やはり地元の農家や漁民の人たちとのつながりが強いからだと思います。「共同声明」を出しただけに終わらせないで、次の行動につなげていきたいと思っています。
協同組合の精神を発揮して大震災の復興を支援したい
――大震災では、生協も店舗や流通施設などが大きな被害を受けました。そうしたなかで、被災された農家や漁民への支援も行っていますね。
先日、みんなで南三陸町に行って、養殖カキを筏(いかだ)につるす「石袋」を1000個作ってきましたが、これまでにも被災地で炊き出しなどを行ってきました。
大震災から半年たって、生活の再建はなんとか見えてきましたが、生(なり)業(わい)の再建はまだまだです。来年は国連が定める「国際協同組合年」ですが、いまこそ協同組合の精神を発揮して、農協や漁協、森林組合のみなさんとも協力し合いながら、復興を支援していきたいと思っています。
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齋藤さんも参加したコープ東北サンネット産直と福島の果樹農家との産地交流(9月11日) |
宮城県知事が「水産特区」を打ち出していますが、何よりも大事なことは、浜で生活している漁民のみなさんの自立再生にむけた意欲を支援することです。
安全・安心な農産物届ける生産者を守っていきたい
――被災地の生産者は、地震・津波ばかりか放射能汚染にも苦しめられていますが、そんななか「食べて支援」など、消費者との連携も進んでいます。
東北の7つの生協が加盟するコープ東北サンネット事業連合を通じて、福島の果物を取り扱っていますが、農家支援も兼ねて「産直センターふくしま」のみなさんと、ぶどう狩りなどをしながら産地交流しました。
果樹園の下草狩りや土づくりの見事なこと。農家の苦労もよくわかったし、本当に感激でした。こうしたことを多くの生協の仲間にも知らせ、安全・安心な農産物を私たちに提供してくれる生産者を守っていきたい。
TPPに反対する理由も、結局はそこにつながっていくと思っています。相手が断念するまで、ごいっしょにがんばりましょう。
(新聞「農民」2011.10.10付)
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