旬の味
もの思わせる秋風が吹く…。頻発(ひんぱつ)する災害に閑寂な夜長に浸っている暇もない。地震、津波、台風によるつめ跡の復旧・復興に立ち向かう日々▼収穫の喜びと自然に感謝する祭事は農漁民の大事な仕事だったが、不安におびえる放射能汚染地域では、これさえも奪われている。花火大会に彩(いろど)りを添えた花火玉まで、原発事故を理由に打ち上げを拒否されている。桃もだめ、ブドウも梨もだめ、米の行方はどうなることか。深く頭を垂れた稲穂を見つめ、農家の心配は出荷が終わるまで持ち越されている▼野田新首相はオバマ大統領のもとにはせ参じた。被災した農漁民、中小業者の心情を逆なでするようにTPPへの参加を急ぐ。沖縄の基地問題でもアメリカにいいなりな返事をしてしまった。遅々として進まない復旧・復興、原発事故を考えた時、訪米は被災地の苦しみにさらに追い打ちをかけているようなものだ▼東電が提示したわずらわしい賠償請求様式に翻弄(ほんろう)されながら、悔しさと怒りを突きつける秋を迎えている。 (啓)
(新聞「農民」2011.10.3付)
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[2011年10月]
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