ビア・カンペシーナ
東南・東アジア青年集会in韓国
農民連 大震災・原発事故を報告
関連/互いに耳傾け、議論し、体験を共に 他の分野の青年と連帯してこそ
第4回ビア・カンペシーナ東南・東アジア青年集会が9月3日から8日まで、韓国の慶尚北道尚州市で行われました。今回は日本のほかに、東ティモール、タイ、インドネシア、カンボジア、フィリピン、韓国、オーストラリアと、台湾(オブサーバー)の合計9カ国、16人の青年が参加しました。農民連青年部から参加した部長の杵塚歩さんと武田伸也さん(本部・国際部)のリポートです。
“反原発”をビア・カンペシーナの
青年たち共通の課題に
進む4大河川事業で水質悪化、洪水頻発
最初に、前駐韓米軍人がベトナムで使われた枯れ葉剤のドラム缶250個が埋められていたことを暴露して問題となった米軍基地「キャンプ・キャロル」を視察し、近隣住民のがん発生率が平均よりも高いという実態を知りました。また、イ・ミョンバク大統領が推し進める四大河川事業のひとつ、洛東江に行き、政府の言うこととは逆に、河川事業によってかえって水質が悪化し、洪水が頻発しているという事実に触れました。
その後、約20年前から有機農業を始めたナシと桃の農場を訪れ、「当初は、『国の政策にそむく有機農業を実践するとは、お前は共産党だ』と言われ、拷問などを受けていた時代があった」という歴史を聞きました。どの問題も、一部の人間が利権を追求する代償として、庶民が犠牲を背負わされている構図になっており、日本の原発問題を思い起こしました。
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四大河川事業「反対うちわ」をかざすアジアの青年たち(洛東江で) |
農民連の救援活動と賠償請求運動を紹介
翌日からは、各国で行われている独創的な青年の農民運動を交流し、農業情勢が報告されました。そのなかで、韓国では農村男性の40%が外国人女性と結婚しているという報告が印象的でした。国は違っても根っこは同じだな、と思いました。
日本からは、ビア・カンペシーナの仲間から寄せられた震災への支援に感謝するとともに、農民連の救援活動や原発事故の損害賠償請求の取り組みを紹介。とくに、原発事故がどれだけ農業を破壊しているかを訴え、“反原発”をビア・カンペシーナの青年たちの共通認識にするとともに、農村に眠る再生エネルギーの可能性に目を向け原発に頼らないアジアを展望しようと訴えました。とくに「自転車発電かき氷」などの動画を見せると、再生エネルギーの話で大いに盛り上がりました。そして、「ともに食糧主権の実現に向けた運動に夢を持って、アジアの小農を守っていこう」と団結を深めました
大震災後、初の地域青年集会だったため、参加者全員がこれからの農民連青年部の運動を心配し、また希望と連帯の目で注目してくれたことを肌身で感じた集会でした。
(武田伸也)
青年コーディネーターの役割を終えて
杵塚 歩さん(農民連青年部長)
今回の青年集会で、4年間務めた東南・東アジア地域の青年コーディネーターの役目を終えました。東南・東アジア地域のなかでまだ青年の活動がなかった2006年から、「青年が集まって語り合う場を作りたい」と青年集会の開催を提案し、2007年からは青年コーディネーターとして活動してきました。
各国の似た状況に大きな衝撃受けた
当初は、異なる国や文化から参加した農業青年が、どのように連帯し青年活動を盛り上げていくのかという不安もありました。しかし、各国の農業青年や農村が直面している状況を報告しあううちに、みんながあまりにも類似した状況に置かれていることに大きな衝撃を受けました。
どの国でも、青年は農業に希望を見いだせず、農村から都市へと移住しています。なぜ農村から青年が消えたのか。なぜ農業では生きていけないのか。熱心な議論を繰り返しながら少しずつ見えてきたことは、農業青年の直面する問題の根源は、農村・農業にとどまらないということです。大企業を中心としたグローバルな経済の枠組みの中で、農業だけではなく、経済や社会など私たちを取り巻く環境が大きく揺さぶられ変えられてきています。そして青年たちがその影響を最も受けていると言っても過言ではありません。
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最後の日に参加者全員で「団結・連帯してがんばろう!」 |
私たち青年は、とても厳しい状況に置かれていますが、希望は失っていません。お互いの話に耳を傾け、議論をし、体験を共有していくことで、これから進むべき方向性も見えてきました。今後は農業だけでなく、他の分野の青年とも連帯していくことが必要だという認識も共有できました。
海外の現状を知り自分の足元みえた
農作業の傍ら、ビア・カンペシーナの活動に参加するには多大なエネルギーを必要としました。けれども、私にとってはかけがえのない体験でした。農業をしながら日々悩んでいる問題を共有する仲間がいること、そして海外の現状を知ることで自分の足元がもっとよく見えるようにもなり、視野を少し広げてくれました。今後も、農民連青年部の仲間が一人でも多くこのような体験ができるように盛り上げていきたいです。
(新聞「農民」2011.9.26付)
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