飯舘村の子どもと
フライブルク(ドイツ)訪ねて
(下)
福島県農民連事務局長
根本 敬さん
見て、感じたことを
みんなに伝えてほしい
「原発反対」が環境都市への道を切り開いた
フライブルクのテレビ局に「なぜフライブルクへ来たのか」との問いにこう答えた。「環境首都フライブルクの原点は、原発反対だったから」と。
「黒い森」は、1970年代に酸性雨によって枯死の危機にひんしていた。こうした時に、近郊に原子力発電所を建設する計画が持ち上がり、原発反対運動が起きた。フライブルクは「黒い森」を守るために、エネルギーでは脱原発・自然エネルギー推進をとり、大気汚染対策としてクルマ依存からの脱却と公共交通・自転車の強化を採用した。自然エネルギーでは太陽光発電の普及を中心にしている。交通面では都心への自動車乗り入れを制限し、路面電車を整備するなどの諸政策をとった。また、旧フランス軍駐留地である市南部のヴォバーン地区では、エコロジーを重視した団地が造成されている。未来を予見する都市がそこにあった。
フライブルクでは、毎週日曜日、「反原発のパレード」が行われている。そのパレードに飯舘村の中学生たちが参加した。多分、こうしたパレードは初めてだったに違いないが、思い思いに旗やプラカードを持ってフライブルクの街を歩いた。集会では、私が代表してスピーチした。参加した中学生が「感動した。話の中の2カ所でグっときた」と言ってくれた時、私もグっときてしまった。
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毎週、日曜日に行われている「反原発パレード」 |
中学生たちは何かをつかんだ
今回のドイツ研修に旅たつ前、私は中学生たちに次のように語った。まず、見て体験して「感じてください」。そして、交流して「つながってください」。最後に「伝えてください」と。
彼らはこの研修で、自らの今を、そして未来を感じたと思う。異文化で暮らす人々との交流を通じて得た自分なりの表現で、未来を語っていくだろうと思う。
(おわり)
(新聞「農民」2011.9.19付)
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