「農民」記事データベース20110919-989-07

TPPはいらない
8・27緊急集会の発言から

 8月27日に、東京・日比谷公会堂で開かれた「食、くらし、地域経済、いのちを守りたい―TPPはいらない! 8・27緊急集会」で、各界・各地から代表して7人が発言しました。そのうち、次の2人の発言(要旨)を紹介します。


食の安全をおびやかす

日本消費者連盟事務局長 山浦 康明さん

画像 消費者団体もTPPに反対運動を繰り広げてきました。TPPとは「とんでもない、ペテンに満ちた、パートナーシップ」の略です。アメリカが押しつけたルールを、ほかの国に全部押しつけて、アメリカの利益を拡大するものです。

 TPPの問題点は、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどの農産物がどっと日本に流れ込むことです。オーストラリアから牛肉、小麦、米、砂糖がすべて関税ゼロで日本に押し寄せてきます。これでは、北海道をはじめ壊滅的な打撃を受けます。

 日本の食料自給率も39%から14%に低下します。日本の消費者は胃袋を外国に依存せざるをえなくなり、環境への影響も懸念されます。輸出型産業が利益を得て、国内産業が犠牲になります。

 そして消費者にとって非常に気になるのは、食の安全基準が引き下げられ、アメリカの基準が日本に押しつけられます。牛肉の安全基準をアメリカ並みにしろということになり、日本が世界に誇るBSE対策を全部ほごにしなければいけません。また、食品添加物の使用拡大を迫られます。

 そのほか、ポストハーベスト農薬、たとえば果物に使う防カビ剤などの利用をもっと拡大しろという圧力が出てきます。また、農薬の残留基準の緩和がさらに起きる可能性があります。遺伝子組み換え食品の表示の義務化さえもアメリカは「非関税障壁だ」として取り払おうとしています。

 私たち消費者も、“TPPは絶対にごめんこうむる”ということをこれからも強く声をあげていきたいと思います。


震災復興の芽つぶす

TPP等と食料・農林水産業・地域経済を考える岩手県民会議
畠山 房郎さん(県農協中央会参事)

画像 岩手県では1月31日に、「TPP等と食料・農林水産業・地域経済を考える県民会議」を立ち上げました。昨年10月以降、県農協中央会、漁業協同組合連合会、森林組合連合会、そして生活協同組合連合会の4団体が集まり、広く県民に「TPPとは何か」ということを訴えていくために、この4つが呼びかけ団体になりました。

 発会式には、農林漁業団体はもちろん、消費者団体、労働組合など40団体が参加し、建設業協会も加わり、学習会や街頭宣伝、そして20万人を目標とした署名活動をしようと決めました。

 2月23日には県内8カ所で、チラシ配布や署名活動、そして地域の方々との意見交換会を行いました。3月5日には、830人の参加のもと、評論家の内橋克人さんをお招きして、「TPPを考える県民フォーラム」を開催しました。大震災が起こった3月11日以降は、被災地の救援・復旧活動が中心となり休止状態でしたが、8月5日には活動を再開し、岩手大学の横山英信教授に講演していただき県民会議の全体会を開催しました。

 この間、9団体が新たに参加し、いま49団体です。署名も14万8181筆が集まり、県の人口の1割以上になりました。引き続き、目標の20万達成に向けて取り組もうと確認しています。

 いま被災地では、農林水産業や中小企業の方々が、全国からの支援をいただきながら、復旧・復興に向けて一生懸命取り組んでいます。もしTPPが導入されれば、せっかくの地域の復興の芽がつぶされてしまいます。今後とも、TPP阻止に向けた運動を展開していくことをお誓いし、報告とします。

(新聞「農民」2011.9.19付)
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2011年9月

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