リサイクルは“人の輪”
生ごみは宝だ!
「生ごみは宝だ!」をスローガンに、毎年開かれている「生ごみリサイクル交流会」の19回目の交流会が8月25日、東京都内で開かれ、消費者、自治体関係者、市民団体など360人が参加しました。
生ごみリサイクル交流会2011
私たちが決める循環型社会の姿
全体会では、主催団体の有機農産物普及・堆肥化推進協会を代表して、理事長の瀬戸昌之東京農工大学名誉教授があいさつ。福島第一原発の事故による影響でたい肥から高濃度のセシウムが検出されている問題に触れて、「長い積み重ねでここまで進めてきた私たちの運動を、台無しにする事態だ。今の消費のあり方やエネルギー問題を見直し、どういう循環型社会にするのか、私たち自身が決めていかなければならない」と訴えました。
学校給食の残さ循環させ食育に 札幌市教育委員会の田村理都子さんと札幌大学元教授の綱島不二雄さんが、学校給食の残さをたい肥化し、そのたい肥で市内の農家が野菜を生産し、再び学校給食の食材に提供することで、その循環を食育に生かすという「さっぽろ学校給食フードリサイクル」の取り組みを報告しました。2006年にモデル校2校から始まったこのリサイクル事業は、現在では児童生徒数14万人、301校に及ぶ全学校で実施されています。
田村さんは「リサイクルは人の輪」という言葉を引きながら、教育委員会だけでなく、環境、農政の各部局も加わった横断的な連絡会議を中心に、農協や農家、市民団体も積極的に参加して、この取り組みを推進してきたことを紹介。「子どもたちは学校内の畑での野菜栽培などもしながら、リサイクルや地産地消の大切さを学んでいる。このリサイクルの実施以降、残飯が減った」と報告しました。
3者の協同でたい肥化始める
「市民と自治体・企業の共同で生ごみをたい肥化」の分科会では、たい肥化施設を新設し、市民と自治体、事業者の協働で本格的な生ごみのたい肥化事業が始まった静岡県御殿場市の取り組みが報告されました。同市では、家庭ごみの減量に取り組んでいる市民団体と、ごみ収集を行う業者でつくる一般廃棄物処理事業協同組合が協力して、有機資源リサイクル委員会を結成。市の職員も参加して、侃侃諤々(かんかんがくがく)、涙あり笑いありの議論を重ね、たい肥化施設を建設。順調な事業運営の実現にまでこぎつけた経緯が生き生きと報告されました。
※ 交流会の各報告・事例発表の詳細を載せた資料集を販売しています。頒価1000円(税込み、発送費別)。連絡先は、特定非営利活動法人・有機農産物普及・堆肥化推進協会 TEL 03(5410)3735、FAX 03(5410)5267まで。
(新聞「農民」2011.9.12付)
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