「農民」記事データベース20110912-988-11

本の紹介

天笠啓祐著
放射能と食品汚染
輸入食肉・輸入添加物・遺伝子
組み換え…脅かされる食の安全


ゆがんだ食と農と環境との
関係を見つめ直す契機に

画像 著者は、「市民バイオテクノロジー情報室」代表で、科学ジャーナリストの天笠啓祐さん。

 本書では、いまだに収束しない福島第一原発の惨事と食品汚染の問題を手始めに、牛丼やステーキ肉など輸入牛肉の問題、輸入食品の添加物やポストハーベスト、遺伝子組み換え食品・生物の現状、マグロの水銀汚染など、食の安全にかかわるさまざまな問題を取り上げ、わかりやすくその本質を解明しています。

 同時に、そうした個別の問題の底流にある世界規模の食糧問題、すなわち多国籍企業による食の支配の危険性を強く訴えています。

 原発事故による放射能汚染は、汚染地域の農家や漁業関係者に打撃を与え、大地と海からの恵みを受けてきた私たちの健康を脅かしています。一方、輸入食品にも食の安全を脅かす問題がひそんでいます。

 この未曽有の放射能汚染と世界の食の危機に、私たちはどう向き合ったらよいのか。著者は、いまこそ、脱原発と並んで、グローバリズムからの脱却、食糧主権の回復が求められていると言います。

 TPP(環太平洋連携協定)への参加では、今日のグローバル化した社会の矛盾をさらに深めることになり、日本の農漁業は壊滅的な打撃を受け、食の安全はいっそう脅かされることになります。

 安さや手軽さを優先させるあまりゆがんでしまった、私たちの食と農と環境との関係を見つめ直す契機に、という著者のメッセージは重要です。

▼芽ばえ社TEL 03(3579)7851
▼A5判。1400円(税込み)

(新聞「農民」2011.9.12付)
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2011年9月

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