「農民」記事データベース20110912-988-05

米屋さんと生産者をつなぐ交流会
大阪

“安全・安心”情報を提供し
福島の農家のがんばりに応えたい

関心高く、初参加者も

関連/交流会参加者の声

「震災後、被災地の米はどうなっているのか」「今年の各産地の出来具合は」――。例年以上に関心が高く、初参加が多かった、大阪市で開かれた農民連ふるさとネットワーク主催の「米屋さんと生産者をつなぐ交流会」。8月28日の交流会には約150人の米屋さんや生産者が集い、各地の作柄や放射能汚染の対策、米をめぐる情勢について交流を深めました。


米流通激動のもと生産者とお米屋さんが情報交流

農民連ふるさとネットワーク

 こういう時こそ産地と交流深く

 農民連近畿ブロック代表の原弘行さん(大阪農民連会長)が主催者あいさつ。「昨年秋の米“過剰”を口実にした米価の大暴落と、大震災後に一転した“米不足”による米価暴騰で、お米屋さんに米が回らない事態が起きた」と、米の流通に責任を負わない政府の対応を批判しました。

 また8月に試験上場が始まった米先物取引についても「主食の米を投機の対象にするものであり、米価の乱高下や需給の混乱が予想される」と指摘し、「こういうときこそ産地との交流を深め、米と食糧を守る取り組みを広げたい」と述べました。

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関心の高さが際立った大阪の交流会

 来賓あいさつとして4氏が登壇。卸会社を代表して、ライスフレンド営業部長の池嶋忠志さんは、「震災以降、東日本の米の仕入れが難しくなっている。11年産米については、順調に米がでてくれば価格も落ち着くと思われる。米屋に安定供給し、消費者に安全・安心な米を提供していきたい」と述べました。

 奈良第一食糧の小泉茂部長は、米をめぐる厳しい情勢のなかでも「産地と情報交換するなかで前に進んでいきたい」と語りました。

 米屋さんを代表して米安米穀店(大阪市都島区)の蔵井謙一さんは、「量販店と違い、お客に米が安心かをアピールするのがまちの米屋の責務だ」と述べました。全農林大阪府協議会の湯川喜郎議長は「東電の責任を追及する運動と原発ゼロをめざす運動を、食と農を守る取り組みの二大課題に」と呼びかけました。

 被災地現場から生産者の悩み

 特別報告として、福島県農民連の佐々木健洋さんが被災地の現場から発言しました。大震災、原発事故という未曽有の状況のなかで、生産者は「本当に作っていいのか、売れるのか悩んでいる」と語り、東電への損害賠償請求に全力をあげていることを報告。「いつか必ずきれいな土地に戻して、子や孫に返すまでがんばる」と決意を述べました。

 ふるさとネットの横山昭三事務局次長が、米流通をめぐる新たな情勢と、産地から米屋さんを通して消費者に安心な米を届ける準産直米の役割について報告。国産米が大打撃を受けるTPPへの参加に反対する運動を展開しつつ、「大手とは違うもう一つの流れ、準産直米を広げよう」と訴えました。

 農民連食品分析センターの八田純人所長は、新たに放射能分析機器を導入することを紹介し、「消費者に安全・安心な米を届けるための情報を提供し、熱い思いをもった米屋さんの力になりたい」と発言しました。

 試食コーナーや加工品の展示も

 各産地からの報告では、「平年並みの生育状況だが、台風や集中豪雨による倒伏が心配」(岡山、茨城)「イノシシによる獣害でたいへん」(岡山)「夏は高温だったが夜間の気温が下がり、高温障害はないのでは」(大阪)などの声がだされました。また、放射能検査に対しても「旧市町村、字単位で食品分析センターの検査を実施し、生産者ごとのデータを提供したい」などの発言がありました。

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特産物・加工品展示コーナーでは、ふるさとの味を堪能しました

 懇親会では産地ごとに分かれて、米屋さんと生産者が交流しました。また、会場内には新米の展示・試食コーナーのほか、特産物や加工品などの展示も行われました。


交流会参加者の声

 農民連の幅広い取り組み知った

   山下食糧(大阪市東成区)取締役社長の山下治男さん
 初めて参加しました。農家の生の声を聞く機会があまりないので、貴重な意見を聞くことができ、勉強になりました。

 夜温が下がっているという話は、生産現場ならではの話でほかでは聞けません。

 福島、東北でがんばっている農家の生の話を聞き、こちらもがんばって売ろうと思いますし、それがわれわれの支援です。

 こうしてお互いが交流することで気持ちがつながってきます。また、分析センターの検査やTPP参加への反対の運動など、農民連の幅広い取り組みを知ることができました。

 生産者と交流しいいもの探せた

   森内米穀店(奈良県川西町)の森内佳輝さん
 放射能の影響はどうなっているのか、産地のことが心配でしたし、それが知りたくて参加しました。各地で放射能を検査し、検出されないところも多く、ひとまず安心しました。また作柄もよいと聞いて安どしています。

 ここで生産者と交流すれば、信頼関係が生まれ、いいものを探してもっていくことができます。こうしてお客さんにも喜ばれるものを薦められます。これは、交流会に来なければわからないことです。

(新聞「農民」2011.9.12付)
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2011年9月

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