「戸別所得補償」見直しより
復興に役立つ対策ぜひ
農民連と北海道連 政府に来年度予算で要請
関連/あきらめずみんなで請求を
農民連と北海道農民連は8月27日、農水省に対し、次年度予算の概算要求にかかわる要請を行い、北海道からも4人が駆けつけました。
民主、自民、公明の3党は2012年以降、戸別所得補償制度を見直すことで合意しています。参加者は「実施2年目での見直しは、生産現場に混乱を生じさせ、営農計画の変更を余儀なくされることになる。今年度以上に予算を確保し、大震災の復興に役立つ対策を講じよ」と求めました。
農水省は、地方からも「継続してほしい」という声があることを紹介し、「見直しの検討とは、効果の検証をするということ。次年度予算でも1割カットの枠外で確保していきたい」と述べました。
高騰する軽油やガソリン代について、農家の負担を軽減する軽油取扱税の減免措置(免税軽油)を継続するよう求めたのに対し、農水省としては「継続してほしいと総務省に要請している」と答えました。
また、農業共済制度の対象からナタネが除外されていることについて、対象にするよう要求。農水省は「そういうニーズがあるのかどうか実態を把握し、調査をしたい」と約束しました。
参加者は、地域振興の上で重要な作物への支援として交付される「産地資金」について、地域の判断に委ねるよう要請しました。また、国と生産者が資金を積み立てて、肥育牛1頭当たりの粗収益が生産費を下回った場合に、差額の8割を補てん金として交付する「新マルキン」についても、8割補てんを引き上げるよう求めました。
さらに、TPP(環太平洋連携協定)交渉に参加しないよう訴えました。
千葉県農民連 損害賠償学習・相談会
3弁護士が具体的説明
実態示し熱心に質問
千葉県農民連は7月30日、原発事故による損害賠償を求める学習・請求相談会を行い、32人が参加。自由法曹団千葉支部から3人の弁護士が出席しました。
最初に千葉県農民連の大木傳一郎会長が、「地震と津波に加えて原発事故が被害を広げ、安心・安全・安定のものづくりが脅かされており、被った損害はあきらめることなく、損害賠償を強力に進める必要がある」とあいさつしました。
報告した岩橋進吾弁護士は、東電福島第一原発事故は人災であり、東電と原発を推進した国の責任は極めて重大だと指摘。秋元理匡弁護士は、国の賠償指針は一定の損害項目や範囲を示したもので、指針の範囲はもちろん、明記されなかった損害の賠償も必要で、指針に示されなかった被害は声をあげることが必要だと話し、国の指針について具体的に説明しました。
報告後の質疑では、これから請求するという香取市のゴボウ農家が「市場の入荷拒否で別の市場に出荷したが、半値以下で廃棄もした。廃棄費用もかかっている」と風評被害の実態を話し、請求に必要な資料の取り寄せ方などについて詳しく質問。すでに賠償請求に取り組み「まとまって請求するのは心強い」と発言した多古町の林栄さんは、「放射能は身の毛もよだつ命にかかわる問題。賠償も重要だが、孫や子が安心できる取り組みに発展してほしい」と思いを語りました。
今後の請求運動について小倉毅事務局長は、「農業について一番詳しい農民が被害を一つ一つ積み上げ、風評被害も含めてみんなで請求する必要がある。請求をあきらめさせない立場で、各地で学習・相談会を開いて請求運動を広げるとともに、全国の行動とも連携して世論を盛り上げ、原発事故による被害を二度と起こさないために、原発をなくす運動につなげることが必要だ」と提起しました。
(千葉県農民連 森吉秀樹)
(新聞「農民」2011.9.12付)
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