損害賠償すべて遅すぎる
賠償の流れ見えない
“政府まかせ”に怒りの声
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岩手県農民連
東電担当者呼び説明会
岩手県農民連は8月8日、一関市内で東京電力への要請をおこないました。会場には一関市を中心に50人が参加。東京電力から福島原子力相談室の3人が出席しました。
7項目にわたる要請書を提出
冒頭、すべての損害についてすみやかに賠償をおこなうことや、線量計の配布をおこなうことなど、7項目にわたる要請書を提出。東京電力からは、要請への回答とともに、賠償請求の流れが説明されました。
しかし、現行の賠償請求の書式は、出荷規制となっているものを対象とするもの。今回の参加者の多くから出された子牛価格の下落や米価下落といった問題はいずれも「風評被害」といった扱いになり、現行の書式では対応できません。「風評も対象になる」としながら、実際には賠償請求を受付ける対象となっていないことに対し、「対応が遅い」と言った声が相次ぎました。
また、「肉牛の賠償については農林水産省のスキームでおこなわれるので、詳しいことは言えない」との回答をくりかえしました。一関市花泉の大石恵司さんは「11日には、子牛市場が開かれる。おそらくここで価格が下落するだろう。下落の基準となる元の価格をどうみるのか。しっかり対応してほしい」と強調。しかしこれについても「農林水産省のスキームで」との東電の回答に、「政府まかせにするな」という強い批判の声があがりました。
東電の対応に希望なくなった
東磐井農民組合の組合長で酪農を営む千葉太郎さんは「放射能汚染により牧草が使用自粛となっており、エサを購入せざるを得ない。農協は500万円を上限に飼料代金を立て替えているが、一定の規模があれば、数カ月で500万円になってしまう。いつまでに賠償するかを明確にしてもらわないと先が見えない」と、切羽詰まった実態を語りました。
西磐井農民組合の高田一郎組合長は「市内で80頭規模の肥育農家は、BSEで1000万円の借金を背負った。ようやくめどがついた矢先に今回の事態で、すっかり希望をなくしている。誠意をもって対応してほしい」と訴えました。
データが不十分情報提供せよ
要請に続く質疑では、賠償の問題だけでなく、「データが十分に出てこないため、ただ恐れるしかない。線量計を配布して、正しい情報をつかめるようにしてほしい」「身近な農地の線量を計測すると、思いのほか高い値が出る。野菜への影響をどう考えたらいいのか、情報提供をしてほしい」など、放射能に対する不安の声も数多くだされました。また、藤沢町の畜産農家は「ワラ使用の状況について立ち入り調査をされている。まるで犯罪者扱いだ」と怒りの声をあげました。
学習会開いて再び提出行動を
質疑の最後に久保田彰孝会長は、「5カ月たっても、まだ賠償の流れが見えないというのは、許されないことだ。精神的な苦しみに対する慰謝料も含めて、徹底した賠償を求める」と結びました。終了後、参加者は「『風評被害』は、東電の書式を待っていては先延ばしになる。学習会を持って請求書をつくり、改めて請求提出行動をやろう」と決意を固めあいました。
(岩手県農民連 岡田現三)
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