「農民」記事データベース20110815-985-14

奈良県農民連

女性部が加工所を開設

みんなで、楽しく、和やかに


大好評

ほぼ100%県内産食材
農家の里山べんとう

 奈良県農民連女性部では、今年2月に加工部を立ち上げました。しかし、「自分たちの農産物を丸ごとあますことなく利用したい」「農家の技術や知恵を伝えたい」「農家にしかできない食品加工をしたい」と、みんなの思いは強かったのですが、なかなか運動は進みませんでした。それを大きく決意させたのは、組合員研修旅行で訪れた三重県多気郡せいわの里「まめや」代表の北川静子さんとの出会いでした。北川さんの「みんなでぼちぼち楽しく無理せずやりながら、みんなで考えたらいいよ」の言葉に勇気付けられ、奈良産直センター加工部第1号店として、北和センターの敷地内に、弁当と和菓子の二つの加工所が設置されました。

画像 農家として技術はあっても、弁当や和菓子の営業にはまったく素人の私たちに、いきなり母親大会の弁当250食の注文がきました。専業・兼業であれ、全員が仕事を持っている中で、延べ16人の女性部の仲間が弁当作りに参加しました。「楽しく和やかに!」という目標はどこへやら。みんな目をつり上げて(?)黙々と作業し、「農家の里山べんとう」が完成しました。材料は、ほぼ100%奈良県農民連の組合員が作った農産物や山菜をつかい、品書きには生産者の名前をすべて記入しました。農家のおばちゃんたちが作った「農家の里山べんとう」は、いろいろな団体や若者のイベントなどでも販売されるようになりました。また、若い組合員が考えた斬新な加工品も提案されるようになりました。

 先日の加工部の寄り合いの際、若い女性の間で人気が出ているという、野菜を多く使用し合成保存料などは入っていない無添加の弁当を、大手スーパーで買い試食しました。確かにメニューはヘルシーかもしれませんが、本社で原材料の産地を調べてもらうと、国産は米やこんにゃくなどの一部に限られ、ほぼ90%以上が中国やタイ、カナダなどからの輸入食材でした。「同じ値段やけど、ずっと私らの弁当の方がおいしいなあ」と、みんなの意見が一致。

画像
加工部長の宮本さん(右から2人目)。いちごを提供してくれた竹村はるみさん(右端)

 それぞれ農作業の時間を工面し、時にはけんか腰でぶつかり合うこともありますが、自分たちが元気でものを作り、意欲的にいろいろな加工に挑戦していくことも、農業を支える活動のひとつです。加工部長の宮本静子さんは「どんどん加工部の活動に参加してもらって女性部の仲間の輪を広げたい」と、楽しい女性部づくりを話します。


自慢のイチゴを被災地に

技術を生かしてジャムづくり

画像 奈良県は、「明日香ルビー」や「あきひめ」、「さがほのか」など、おいしいイチゴの産地です。女性部でも、何とかおいしいイチゴを被災地のみなさんに味わってもらおうと思っていましたが、流通が難しく断念していました。けれども、「私ら加工部の技術を生かしてジャムを作って送ったらあかんやろか?」という宮本静子さん(加工部長)の一言で、イチゴジャムを作って届けることにしました。

 奈良市の代表的な品種の「あきひめ」を提供してくれたのは、萩原農園さんと竹村一美さんです。朝5時からイチゴを摘み、へたを取り、あく取りして瓶詰めなど、農作業の合間をぬってリレーしながらの作業でした。「よっしゃ、これで奈良のイチゴを被災地の仲間にも味わってもらえる」。夜11時、100個のイチゴジャムができあがりました。

 ジャムを福島・浜通り農民連に送ったら、すぐに「ジャムは子どもたちに喜ばれています」というお手紙をいただきました。ジャムを食べている子どもたちの顔が目に浮かび、反対に私たちが励まされました。いつかきっと、浜通り農民連の子どもたちと一緒にジャム作りができる日をめざして、私たちもいっしょにがんばりたいと思っています。

(奈良産直センター北和加工部 森口いち代)

(新聞「農民」2011.8.15付)
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2011年8月

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