「農民」記事データベース20110801-983-04

長野・栄村

大きな農民組合なくては復興できない

結成よびかけに 会員7人読者3人ふえる

関連/飼料の運賃全額助成始まる


 長野県北部地震で甚大な被害を受けた長野県栄村では、村をあげて復興に向けて奮闘しています。住宅に加えて農地や水路などの農業施設の被害は深刻で、高齢化した村の農民が復旧・復興を担っていますが、安心して農業で暮らせるようになるには、まさにこれからです。

 栄村にはこれまで数人の農民連会員が奮闘してきましたが、米産直に参加している多くの農家は団体加入でした。会員たちは「震災から村を復興させるには農家が要求を出し合い、団結して村や県、国に要求実現を迫る強力な組織が必要だ。全村規模の農民組合にするために、イチから組織を作り直そう」と議論。

 すべての集落から「農民組合の結成呼びかけ人」になってもらう農民を10人リストアップし、7月12日、県連の応援も受けて農家訪問を始めました。話をできた農民は5人でしたが、全員が訴えに共感して農民連に加入し、「呼びかけ人」になることも承諾しました。ほかに2人の農民も加入して一気に会員7人、読者3人が増えました。

 話し合いでは、「オレは保守だが、加入してもいいか」「税金で困っていた」「田んぼの復旧対策を何とかしてもらいたい」など、多くの要求が出され、農民が力を合わせることへの期待も広がっています。

 栄村農民組合では、7月29日に「呼びかけ人会議」を開くことにしており、ここに向けてさらに拡大を進め、お盆明けには盛大に結成総会を開こうと計画しています。


飼料の運賃全額助成始まる

6月10日分から 農民連の要求運動の成果

 農水省は、福島第一原発の事故により牧草や粗飼料を与えられなくなった畜産農家への支援対策として、国産粗飼料の国内運賃を全額助成する「国産粗飼料流通円滑化事業」を実施することにしました。

 農民連でも、被災地への支援活動の一環として、牧草支援に取り組んでおり、一番のネックとなっている高い運賃の助成を強く求めてきました。今回決定したこの事業は、これらの声に応えて実施されるもので、大きな成果といえます。

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北海道幌延町の酪農家、鷲見(すみ)悟さん(左)から、福島市の酪農家、佐々木健三さんに届いた救援乾草(今年5月)

 事業の運営は、社団法人日本草地畜産種子協会。サイレージ(発酵粗飼料)、乾草、稲ワラなどを被災地に運搬する際の運賃が全額助成されます。供給できる粗飼料は、放射性物質の暫定許容値を下回る地域で生産されたものだけで、運搬する際には見積書を2社以上の運送業者からもらう必要があります(自ら運搬する場合は、燃料代、高速道路代など運搬に要した実費を助成)。

 助成の対象期間は、「6月10日から9月30日までに運搬を完了したもの」となっており、さかのぼって助成申請することも可能です。「10月以降は需要動向を勘案する」としており、この助成制度を大いに活用することが求められています。

(新聞「農民」2011.8.1付)
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2011年8月

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