「農民」記事データベース20110801-983-02

東電はすぐ汚染牧草の賠償を

宮城・丸森町の酪農振興組合長


“絶対に廃業者出さない”

 福島県相馬市や伊達市などと県境をなす宮城県丸森町。その上滝地区で搾乳牛約40頭を親子で飼う菊地弘之さん(農民連会員)は、町内58戸の酪農家でつくる丸森町酪農振興組合の組合長です。

 菊地さんはいつものように一番草の収穫を始めましたが、5月11日、県の調査で許容値(1キログラムあたり300ベクレル)を超える放射性セシウムを検出。自給飼料の8割を占める一番草のロール280個(1個300キロ)がすべて使えなくなりました。その後、県から出されていた牛への給与および放牧の自粛要請は解除になりましたが、飼料購入代は倍にはねあがり経営への打撃は深刻です。菊地さんは「酪農家を孤立させてはいけない。せめて飼料代だけでも早期に支払うよう、東電や国に損害を請求していきたい。廃業する農家など絶対出させない」と語気を強めます。

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丸森町筆甫にある目黒さん(右端)の牧草地にて。右から4人目が菊地さん

 丸森町のうち、いまだ自粛要請がでている筆甫(ひっぽ)地区。ここで約80頭を飼う目黒正紀さんは、ちょうど牧草狩りの作業中。「いくら自粛といわれても二番草も出てくるし、放っておくわけにはいかない。これからも心配だから、ぜひ土壌の検査もしてほしい」と話します。汚染された牧草の処分も問題です。農水省は埋めるか農地へのすき込みを指導していますが、農家から子牛を預かって育てている丸森町営牧場の場長、大槻謙喜さんは「ここでは許容値の5倍以上のセシウムが見つかった。埋めるにしても、土地の確保や土壌への影響も心配だ。輸入牧草は月50万円、年間600万円かかる。東電はすぐにも賠償してほしい」と話しています。

(新聞「農民」2011.8.1付)
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2011年8月

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