遺伝子組み換えナタネ
調査地すべてで検出
農民連食品分析センターの自生調査
関連/栽培農家に大きな脅威 GMナタネ
農民連食品分析センターは、2011年遺伝子組み換え(GM)ナタネ自生調査の結果を発表しました。
今年は4月11日から6月3日まで、全国10カ所で実施し、すべての調査地で遺伝子組み換えを検出。ナタネの総採取数は119、除草剤の成分グリホサート(RR)を散布しても枯れない(耐性をもつ)GMナタネが40、成分グルホシネート(LL)耐性のGMナタネも40でした。(図参照)
今年も1次試験で遺伝子組み換えでないと判定されたものが、2次試験で遺伝子組み換えと判定される“隠れGMナタネ”が6個体ありました。いずれもLL耐性です。ナタネが群生しているところで、こうしたGMナタネが見つかっており、世代交代が進み、遺伝的変化が起こっていることも考えられます。
今年は初めて福岡県の門司港で調査を行い、GMナタネを発見しました。また、博多港では、南部の内陸部まで調査を広げ、港から15キロほど離れたところでGMナタネがありました。
今後、汚染を防止するために、GM作物の種子やそれを原材料にした製品の運搬経路の解明、そして情報収集が求められます。
三重県内で自家採種を断念
GM汚染の広がりや在来種、近縁種との交雑は、安全・安心な国産ナタネを栽培する農家にとって大きな脅威となっています。三重県では、四日市港付近で多数のGMナタネが見つかっていることから、県のブランド「三重なばな」との交雑を防ぐために、県内で行っていた種の生産を県外の業者に委託し、県内での自家採種を中止してしまいました。
農水、環境省調査でも両耐性・交雑体を検出
農水、環境両省もGMナタネの調査を行っています。環境省は2003年から実施し、これまで両耐性をもつもの、またはGMナタネと在来ナタネとの交雑体と考えられるものを発見しています。農水省も、09年の調査で、両耐性をもつものを初めて検出しました。
また、09年の農水省の調査では、宮城・石巻港や青森・八戸港で、GMナタネが発見されており、汚染が全国で広範囲にわたっていることが明らかになりました。
農水省は、GMナタネの隔離ほ場での試験栽培について承認しようとしています。農民連は、6月21日付で、「試験栽培は絶対に認められない」とするパブリックコメントを発表しました。
(新聞「農民」2011.7.25付)
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