太陽光発電
わが家も導入
農民連会長(北海道在住) 白石淳一さん
「効率が悪い」は誤解でした
“原発ゼロ”社会を実現しよう
わが家も太陽光発電を導入しました。以前から興味があり、いつかはぜひ設置したいと思っていましたが、なかなか実現しないできました。きっかけは福島原発の事故。家族で話し合っているうちに太陽光発電の導入で衆議一決し、さっそく実施に踏みきりました。
当初は、作業場の屋根に設置する計画で進めていましたが、「一番良い条件で」との思いから野立て方式に変更し、庭木を切ってスペース(4メートル×6メートル)を確保し設置しました。総工費は約300万円。資金は銀行からの融資と国の補助金25万円です。
農繁期の真っ最中の5月20日、太陽光パネル28枚で5・18キロワットのシステムが完成し、発電を開始しました。200ボルトの直流で発電し、100ボルトの交流に変換(コンディショナー)して、自家消費と売電に振り向けています。発電と自家消費の状態は、リアルタイムにテレビ画面で見ることができます。
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新設した太陽光パネルを説明する白石さん |
「太陽光発電は効率の悪いもの」と“覚悟”していましたが、「誤解がたくさんある」ことに気づかされました。それは、曇天でも結構発電することや、カンカン照りで暑く無風の時よりも涼しく風のあるときの方が良く発電すること、発電量が使用電力を上回り電力会社に売電する日が多いことなどです。まだ1カ月足らずのデータですが、42円/キロワットの買い取り制度が10年間設定されていることもあり、「設置費用の回収もできるのでは」と期待を膨らませています。
何よりも変わったことは、家族の中で電気に対し「あって当たり前」から「限りあるエネルギー・節電」の意識が芽生えたことです。そんな視点から見てみると、農村は自然エネルギーの宝庫です。太陽光発電、小型の水力や風力発電、家畜のふん尿を活用したバイオマスなど可能性は大きく膨らみます。
福島原発は、いまだに収束の方向さえ見えずにいます。まき散らされた放射性物質は多くの人々を苦しめ、住民はふるさとを離れ、避難生活を余儀なくされています。人間がコントロール不能になる物を作ってはなりません。農村は、食料の生産だけでなく自然エネルギーの重要な供給源です。ここに着目し、“原発ゼロ”の社会を実現しようではありませんか。
(新聞「農民」2011.7.18付)
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