生活・経営の再建を最優先に
大震災復興・原発事故賠償
農民連が農水省交渉
TPP参加・米政策なども要請
農民連は7月1日、農水大臣に対し、大震災からの復旧・復興と原発事故による損害賠償の支払い、TPP参加、米政策などについての要請を行いました。
冒頭、白石淳一会長が「大震災から3カ月半が経過したが、いまだに多数の被災者が避難所暮らしを余儀なくされ、農民は営農を続ける展望を見いだせていない。被災地と被災者の要求を基本にしながら生活と経営の再建を最優先させることが求められる」と指摘しました。
笹渡義夫事務局長は、「東電が受け付けた賠償請求について、ただちに支払いを行え。いっさいの線引きを行わず、事故によって発生したあらゆる損害を速やかに賠償するよう、農水省は東電を指導せよ」と求めました。
農家が東電に提出する仮払い請求書について、福島県連の根本敬事務局長は、「東電が『腐った農産物については廃棄したことを証明せよ』と後から言ってくるなど、損害は被害者(農家)の証明(立証責任)が必要だという立場だ」と厳しく批判。茨城県稲敷市から参加した野菜農家の四ツ谷和之さん、仁和さん兄弟も「東電は、すでに廃棄したものについては賠償が受けられないかもしれないという立場で、農家に立証責任を負わせている」と告発しました。
さらに参加者から「東電は(収入額の証明として)去年の確定申告書を提出せよと言うが、去年と今年では収入額や売り上げが違う。なぜ提出を求めるのか」など、東電への不満が噴出。「農水省はこうした実態を把握し、東電を指導せよ」と強く求めました。
また、原発事故による被害総額について、農水省は「なぜ被害額を算出する必要があるのかわからない」という立場です。参加者は「出荷規制を受けた産品の額など、農水省が被害額を出すことによって、東電が求める立証責任や請求実務の簡素化が可能になる」と反論しました。
また、「福島県は全国にキノコの原木を供給する拠点県であり、全国の産地に影響を及ぼすことになる。原木伐採時期(10月ごろ)に間に合うよう放射線量の暫定基準値を示せ」と求めました。農水省が「来年3月ごろになる」と述べたのに対し、奈良県から参加したキノコ農家は「福島の原木を使っているが、『福島産の原木を使っているキノコは取り扱わない』という小売店もでている。3月では遅い。10月までに出してほしい」と訴えました。参加者は「代替の産地を開拓するとともに、原木が高騰する事態になったら、助成を実施せよ。原木が調達できずに減収となったら、東電に賠償させよ」と要求しました。
(新聞「農民」2011.7.18付)
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