「農民」記事データベース20110718-981-01

一刻も早く損害賠償せよ

農民連 東電本社に要請行動

関連/農民連の書式でも払う 東電明言


7月15日までに仮払いする
茨城・県南農民組合の2人に 東電側が約束

 福島第一原発による損害賠償の一刻も早い仮払いを求めて、農民連は7月1日、東京電力本社に要請行動を行いました。

 対応した被災者支援対策本部の橘田昌哉部長らは当初、「ただいま、書類を精査中」「なるべく早く仮払いできるよう、努力する」とのあいまいな答弁を繰り返していましたが、参加者の厳しい批判の前に、茨城・県南農民組合の四ツ谷和之さん、仁和さん兄弟に対して「7月15日までに仮払い金を振り込む」と明言したほか、「申請書類については、農民連の書式でも支払いに応じる」と答弁しました。

 農民連ではこれまで、福島、茨城、群馬、千葉の各県農民連が請求書を提出していますが、東京電力はさまざまな理由をつけて、まったく仮払いしていません。今回、とくに「支払いを引き延ばしている」と厳しい抗議の声が上がったのが、被害農家に過大な書類提出を強いる東京電力の態度でした。

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四ツ谷和之さん(左端)と仁和さん(その隣)

 5月19日に福島県農民連が提出した請求書類に対し、東京電力は1カ月以上たった6月22日になって、東電の書式に沿った新たな書類を再提出するよう要求。4月12日に請求書を提出した群馬農民連に対しては提出済みの請求書をつき返したうえで、書類の書き直しと、ぼう大な種類の添付書類を要求していることが、要請で明らかにされました。

 群馬農民連の目黒奈美子事務局長は、「確定申告書の写しや耕作証明書などが要求されている。小さな農家には提出不可能な書類の負担を負わせるのもおかしいし対応も遅い。一刻も早く払ってほしい」と訴えました。

 また福島県の県北農民連事務局長の服部崇さんは、「東京電力は、こんなに書類は出せないという我々に向かって『損害賠償の立証責任は、あなたがた被害者にある』と言い、不満なら裁判に訴えろといわんばかりの態度を取っている。この姿勢は、絶対に許せない」と怒りを爆発させました。これらの声に東京電力も、「6月22日までに提出された申請書類については、農民連の書式でも書き直しは必要ない」と明言しました。

 また東京電力は、出荷停止になった畑の証拠写真の添付を警戒区域内でも要求しています。「立ち入り禁止なのに、撮影など不可能だ。実際にJAそうまは写真が撮れないからと、警戒区域内の請求をあきらめた」と参加者に詰め寄られ、「必ずしも添付しなくてよい」としました。


農民連の書式でも払う 東電明言

過大な書類提出強いる東電に“仮払いのばすな”と要求

 今回、東電が仮払いを明言した四ツ谷さん兄弟は、約3000万円強の賠償請求をしていましたが、東電が仮払いの範囲を「原子力損害賠償紛争審査会(以下、審査会)」の第1次指針に限定し、さらに上限をその半額としていることから、約1000万円が7月15日までに振り込まれることになりました。四ツ谷さん兄弟は、「僕らの農場はたまたま東電の社員が確認に足を運んだから、証拠写真なしでも仮払いになるが、本来、原発事故を起こした東電こそ自分たちの足ですべての田畑の被害を確認するのがスジではないか。僕らだけでなく、すべての農家の損害を即刻支払ってほしい」と詰め寄りました。

 要請では、まだ請求書の書式すら発表されていない5月以降の賠償や警戒区域内の賠償、また「審査会」の指針よりも大きく広がっているいわゆる風評被害についても、直ちに請求を受け付けるよう、強く求めましたが、東京電力はあいまいな答弁に終始しています。

(新聞「農民」2011.7.18付)
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2011年7月

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