農水省の組織 縮小・改編のなか
検査員の鑑定技術の維持向上を
農民連ふるさとネット 農産物検査員研修会開く
農民連ふるさとネットワークは6月24日、都内で「農産物検査機関と検査員の研修会」を開き、約40人が参加しました。
ふるさとネットの堂前貢代表があいさつ。「農水省が検査業務から手を引き、民間に丸投げされる方向にある。何が変わるのかをつかみ、検査能力を高める努力が求められる」と述べました。
責任後退させた政府
大阪府農民連の佐保庚生さんが検査制度変更の中身について報告しました。農水省の組織改編で地方農政事務所が縮小・削減され、農産物検査に必要な事務手続きが地方農政事務所から地方農政局に移された点を指摘。「検査員の養成や鑑定技術の研修は、公正・的確な検査を維持するうえで必要でありながら、国がその役割と責任を大きく後退させたのは問題だ」と批判しました。
さらに検査の基準となる検査標準品が登録機関に1セットだけしか配布されないことになったため、登録検査機関は、標準品をもとに自ら検査の見本品を作製することが必要になる点を紹介しました。
また、技能確認が廃止され、地方農政局主催の「程度統一会」が年2回に、対象は指導的検査員に限られることになりました。
佐保さんは「指導的検査員は、検査機関内で検査員の鑑定技術の維持・向上、検査員の育成などに責任を持つことになる」と指摘し、「他の登録検査機関や農産物検査協議会と共同しながら取り組んでいくことが必要だ」と述べました。
最後に、農民連の信頼される農産物検査のために年間を通じた鑑定技術の向上、検査員の育成・補充などが求められるとともに、「検査標準見本品の作製や、指導的検査員の役割とそれぞれの登録検査機関内での研修のあり方などが課題になる」と指摘しました。
その後の討論では、各地の検査協議会の結成状況や取り組み経験を交流しました。
ふるさとネット理事の鈴木弥弘さん(宮城県農民連)は「田んぼが塩水につかるなどしているところも多いが、農家は果敢に挑戦している。救援・支援活動をしながら、農業の再建を果たしたい。みなさんと力を合わせて精度を高めながら検査業務を実施していきたい」と閉会あいさつを行いました。
米の模擬鑑定会開く
なお、開会に先立ち、各地の米の模擬鑑定会を行い、米の等級を記録し、各自の技量を採点しました。
愛知・豊田農民組合の岩瀬圭介さんは「食の安全が求められているときに、国がその責任を放棄するのは問題だと思いました。検査員として、生産者の米を自信もって消費者に提供できるよう、努力したい」と話していました。
(新聞「農民」2011.7.11付)
|