一刻も早く全損害を賠償せよ千葉県農民連が東電支社に
千葉県農民連は6月16日、東京電力千葉支店を訪れ、福島第一原発事故の損害賠償を求めて、請求書と要請書を手渡しました。 5月31日に原子力損害賠償紛争審査会が定めた第2次指針では、いわゆる「風評被害」について、福島、茨城、栃木、群馬の4県は県全体を賠償対象の範囲としましたが、千葉県は、国や自治体などによる出荷制限・自粛があった3市町(香取市、旭市、多古町)しか認めていません。 東電本社に請求書を渡した4月26日の第1回に続いて2回となる今回の請求行動では、対象外の地域も含め、多古町旬の味産直センターが、4月16日から5月31日までのホウレンソウなどの損害をとりまとめた約100万円弱を請求しました。このほか、房総食料センター、匝瑳(そうさ)農産物供給センター、船橋農産物供給センターが要請に参加しました。 対応した福島原子力補償相談室千葉補償相談センターの荒木圭次部長は、「迷惑をおかけし、深くおわびします。審査会の指針に基いて速やかに対応するとともに、審査に当たっている本店に、皆さまの声をしっかり伝えます」と、答えました。
“風評被害”は原発事故が原因の実害だ要請では、「世間では“風評被害”という言い方をするが、我々生産者にとっては原発事故が原因の“実害”だ。生産物が収入にならないと、借金しないといけない。今すぐ損害を支払ってほしい」、「これ以上、被害が広がらないよう、一刻も早く原発事故の収束を」などの痛切な訴えが相次ぎました。このほか、「原発事故がいまだに収束せず、生産者も消費者もいつまで被害が続くのか、大きな不安と怒りをもっている。汚染状況をきちんと調査し、公表すべきだ」、「毎年続けてきた田植え交流会も中止になった。産直運動のように長い間かけて積み上げてきた消費者との信頼関係にも、原発事故は深刻な影響を与えている。現物被害だけでなく、金銭にはかえられないものも原発は奪ったことを知ってほしい」などの意見も出されました。 また、千葉県は直売所や産直などJAに出荷していない農家も多いため、損害を請求しない農家や泣き寝入りになる農家がいないよう、東電から自治体などへ働きかけることを求める声も上がりました。 千葉県農民連の大木傳一郎会長は行動のまとめで、「まだ被害は続いている。脱原発を求める国民世論に応える上でも、農業の被害を明らかにすることは、私たち生産者の社会的責任でもある。今日の請求行動を第一歩に、毎月請求を続け、運動を広げていきたい」と述べました。
(新聞「農民」2011.6.27付)
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[2011年6月]
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