旬の味
大地が淡い色から濃い緑に移ろうとしている時、天空に向かって胸いっぱいに呼吸をする、農に生きる特権のように▼「こうした生活を早く取り戻したい」。計画的避難区域や自主避難を指定された区域に住む人たちは、そろってこうつぶやく。日を追って明るみに出される原発事故の真実。年間の被ばく量20ミリシーベルトを超えてしまう地域の住民が、行政から自主的に避難するかどうか相談を受けたのは、事故発生からなんと2カ月半もたってからだった▼戸惑いと怒りをあらわにする酪農家の悲痛な思い。親子孫三代にわたって続けてきた搾乳の仕事をやめるか、とどまるかの瀬戸際に立たされている。原乳の出荷はできても、牛に与える牧草が使えない▼孫夫婦には保育園に通う2人の子どもがいる。「外に出るな」「静かにしろ」、野外で遊べない子どもたちのストレスに親たちが追い打ちをかけてしまう。せめて若い世代だけでも避難させようかと決断した。暮らしと健康のはざまでゆれる地域がまた増えた。 (啓)
(新聞「農民」2011.6.20付)
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[2011年6月]
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