「農民」記事データベース20110613-976-15

遊休農地に咲いた菜の花

高まる「地域おこし」の機運


秋田・由利本荘市 鳥海高原菜の花まつり

 5月28、29の両日、秋田県由利本荘市で「第2回鳥海高原菜の花まつり」が開催されました。

 会場となった桃野地区は、鳥海山北側のすそ野に位置し、1993年から10年間で10億円もかけて整備された約50ヘクタールの畑地。しかし厳しい農業情勢のもと、不便な立地条件もあいまって農地の遊休化が深刻な問題となっていました。

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鳥海山と菜の花畑

 そうした状況を憂いた地元の農業法人や建設会社が「せっかくの農地を遊ばせておくのはもったいない。菜の花を咲かせれば東北の誇る名峰鳥海山を背景にすばらしい景色になる」と一念発起。NPO法人「あきた菜の花ネットワーク」(注)と協力し、2008年秋、草ぼうぼうの荒れ地となっていた3ヘクタールの畑地で菜の花の作付けを試験的に始め、翌年秋には倍の6ヘクタールへと拡大しました。

今年は一大イベントに成長

 2010年5月には、地域おこしの機運を高めようと、はじめて“鳥海高原「桃野」菜の花まつり”を開催し、9000人が訪れました。そして今年、11ヘクタールという広大な菜の花畑を舞台に、これまでかかわらなかった地元商工会や企業も運営に加わり、由利本荘地域一体となったイベントに成長しました。

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150人の学生ボランティアが大活躍

 菜の花から始まった地域おこしはまだ始まったばかり。原発に依存しないエネルギー政策の見直しが求められているなか、ナタネ油の廃油によるバイオディーゼル燃料(BDF)の活用など、問題も山積みですが、一歩一歩前に進んでいきたいと思います。

(秋田県立大学 渡部岳陽)


(注)NPO法人「あきた菜の花ネットワーク」

 菜の花を景観・食品・燃料などの幅広い分野で活用し、遊休耕作地を再利用することで地域の活性化を図り、循環型環境保全社会を形成し、社会に貢献することを目的としています。

 秋田県農民連の佐藤長右衛門会長が理事に名を連ね、農民連はナタネの種をあっせんするなど協力してきました。

(新聞「農民」2011.6.13付)
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2011年6月

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