「農民」記事データベース20110613-976-12

本の紹介

までいの力
福島県飯舘村にみる一人一人が幸せになる力

「までい」特別編成チーム 編集企画


原発事故の被害を受ける前の飯舘村の美しい姿がこの本に

画像 福島第一原発の事故で高い放射線量が計測され、「計画的避難地域」として全村避難を迫られている福島県飯舘村。豊かな自然と共生し、住民同士のつながりを重んじてきた村の暮らしと自治体の取り組みを描いた本『までいの力』が出版されました。

 「までい」とは、「手間ひま惜しまず、ていねいに心をこめて、つつましく」という意味の東北地方の方言。飯舘村は、周辺の町村が次々と合併を決めるなか、合併しない「自主独立のむらづくり」の道を選択し、菅野典雄村長を中心に村民自らの手で未来を切り開く「までいな村づくり」に取り組んできました。

 本の中では、村内産食材100%の学校給食をはじめ、立ち読みならぬ「座り読み」大歓迎の村営の本屋さん、全国から1万冊以上が届いた「絵本リレー」、都市住民を招いた田舎体験イベントなど、ユニークな「までい」の村づくりが、いきいきと紹介されています。

 とりわけ印象的なのが、1989年から5年間行われた「若妻の翼」プロジェクト。「ヨメは夫の3歩後ろを歩くもの」と誰もが思っていた当時、勇気をふりしぼって91人の女性たちがヨーロッパ研修に飛んだこの事業は、今につながる飯舘村の輝きの核になっているといいます。

 1年がかりでまとめられた本書は、当初、3月に出版される予定でしたが、刊行直前に東日本大震災と福島第一原発の事故が発生しました。全ページカラー印刷で、ページをめくると、そこには原発事故が奪ってしまった、美しい自然や村人の笑顔の写真がいっぱいあふれています。急きょ中表紙に刷り込まれた「ここには2011年3月11日午後2時46分以前の美しい飯舘村の姿があります」――という一文が、深い怒りと悲しみを伝えています。

 本書の販売収益は、飯舘村復興のために役立てられます。

▼定価 2500円(税込み)
▼出版社 SEEDS出版 Tel 024(597)6800

(新聞「農民」2011.6.13付)
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2011年6月

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