「農民」記事データベース20110613-976-05

風評被害含む「第2次指針」策定

原子力損害賠償紛争審査会

関連/TPPとことん語り合った


 福島第一原発事故による損害賠償の指針をつくる「原子力損害賠償紛争審査会」は5月31日、農林水産業のいわゆる風評被害を含む「第2次指針」を策定しました。

風評被害
対象地域を限定、「非食用」対象外
「線引き」せず、すべて損害を対象に

 「第2次指針」では、いわゆる風評被害一般について「事故以降に現実に生じた買い控えなどによる被害は、原則として本件事故との相当因果関係が認められる(事故によるものと判断できる)」「(風評被害は)必ずしも科学的に明確でない放射性物質による汚染の危険を回避するための市場の拒絶反応と考えるべきであり、(略)賠償の対象となる」と明記されました。

 しかし農林漁業の「風評被害」については、「4月までに政府等の出荷制限指示のあった区域で産出されたすべての農林水産物(食用に限る)」だけが賠償対象とされています。つまり農産物では福島、茨城、栃木、群馬の4県と千葉県の旭市、香取市、多古町の3市町、畜産物と水産物では福島と茨城だけが対象地域となっているほか、家畜の飼料や生花など食用でない農産物は「第2次指針」には盛り込まれていません。

 現実には、放射性物質は地域や品目を選ばず飛散しており、風評被害は埼玉県や神奈川県、千葉県全域など広範囲に広がっています。また、政府が出荷制限指示を出す前に、東京都が千葉県に対して出荷自粛を要請したために生じた風評被害のように、扱いが不明確な損害も山積しています。

 「第2次指針」では、「差し当たって、現時点で判断できるものに限って提示する」としており、これ以外については、「今後検討する」としています。風評被害の「線引き」をせず、すべての損害が賠償対象となるよう、被害の実態を明らかにしていくことがますます求められています。

作付け断念・制限、牧草給与制限
生じた費用、賠償対象に盛り込む

 「第2次指針」では、作付け断念や作付け制限に関する損害についても、賠償対象としていくつか盛り込まれています。

 政府による出荷制限品目で、作付けを断念したために生じた減収や追加的費用(苗の廃棄代など)が、賠償すべき対象として明記されたほか、政府による作付け制限や、牧草の給与制限によって生じた減収や追加的費用(代替飼料の購入費用など)も、賠償すべき損害として認定しました。

 さらに「風評被害」を懸念した作付け断念によって生じた被害も「かかる判断がやむを得ないものと認められる場合」に限ってですが、原発事故によるものと認められており、注目されます。

 審査会は、引き続き調査をすすめ、7月に被害全体にわたる「中間指針」を策定する予定です。


TPPとことん語り合った

福岡・みのう農民組合

村尻前副会長を迎え学習会

画像 福岡・みのう農民組合は5月9日、前農民連副会長の村尻信勝さんを迎えて学習会を行い、「TPP(環太平洋連携協定)問題と今後」について学び、佐々木督文書記長が宮城県南三陸町で震災支援を行ったことを報告し、米をめぐる情勢について話し合いました。新日本婦人の会うきは支部のみなさんも参加し、20人ほどが集まりました。

 村尻さんは、TPP参加が「平成の売国・壊国」といわれるゆえんなどを話し、「全部分からなくてもいいから一部でも自分のものにして、語り部になってほしい」と強調しました。

 新婦人の人たちは、「マスコミの話が耳に入ってくるが、今日の話は真逆。勉強できてよかった」、「ほんとうに(TPPを進めようとする)政治家には頭にくる」と怒りの発言があり、組合員からも、「こんな時期に減反はおかしい」など、たくさんの感想が出されました。

 そして学習会が終わってからも、「どんどん物を作っていこう」、「農民連のネットワークで、これからも米が出せる。大変なときだからこそ、組合員をどんどん増やし、大きな組合にしていこう」など、今後の農民組合のあり方など突っ込んだ話し合いができました。“ほんとうにやってよかった”と、確信のもてる学習会でした。

(福岡・みのう農民組合 金子徳子)

(新聞「農民」2011.6.13付)
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2011年6月

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