「農民」記事データベース20110613-976-02

震災復興とTPPは相いれない

全国食健連が総会


住民・被災者本位の震災復興こそ
TPP参加ストップに共同行動を

 全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)は5月28、29の両日、都内で東日本大震災後、最初の総会を行い、20都府県・16中央団体から82人が参加。2011年度の運動方針を確認しました。

 震災を口実にした動きを警戒

 農民連の白石淳一会長が主催者を代表してあいさつ。「震災復興とTPP(環太平洋連携協定)は相いれない。TPPへの参加や農業経営の大規模化など、震災を口実とした貿易自由化、構造改革の動きに警戒しながら、食料自給率を引き上げる運動に取り組もう」と訴えました。

 全国食健連の坂口正明事務局長が運動方針を報告し、(1)住民本位の震災復興で地域と農林漁業の再建を軸とした国民運動を強化する(2)原発に頼らないエネルギー政策に切り替え、地域の自然エネルギーをくらしと営農・営業に活用する(3)TPP参加をストップさせる共同の運動―などを呼びかけました。

 震災・原発事故3人が特別報告

 今回は、震災と原発事故について、被災地から3人が特別報告しました。いわて食・農ネットの岡田現三さんは、いまなお4万人余りが避難所や在宅での避難生活を余儀なくされていることを紹介し、引き続き支援が重要だと述べました。また、「TPP阻止の運動を全国で進めることが何よりの復興への支援になる」と訴えました。

 宮城県食健連の梶谷貢さんは、地盤沈下や排水機場・用排水路の損壊で、米作りができない地域が多いと指摘。県知事が一方的に「漁業特区」を設定するなど、「国や県の対策に県民は不満や疑問をもっている」と述べ、「自分たちの復興計画をつくろう」と広範な人たちが参加して、「復興支援みやぎ県民センター」が設立されたと報告しました。

 福島県農民連の根本敬事務局長は、原発事故への対応を報告。「風評被害」でなく「実害」であり、全面的な賠償を勝ち取るための運動を進めると同時に、「これからの福島を問う全県民を対象とするアンケート活動を検討している」と紹介しました。さらに「原発が安くてクリーンな電力」でないことを認めさせ、「原発に頼らない地域づくり、原発ゼロをめざす運動を強めたい」と決意表明しました。

 TPPは9月が大きなヤマ場

 討論では32人が発言。震災問題では、「支援野菜の購入を呼びかけるとともに、多くの会員が被災地や避難所での炊き出しに参加している」(新日本婦人の会)、「被災した農協の立て直しと、労働者の雇用の確保に全力をあげている」(全農協労連)、「岩手・陸前高田市の矢作地区を拠点に支援活動を続けている。農地を除塩するために、地域の区長さんや農民連の協力でヒマワリやトウモロコシを植えようという運動を進めている」(自治労連)などの発言がありました。

原発ゼロの運動強めよう

 また、原発問題では「事故の状況を話してほしいとフランスに招待され、マスコミのインタビューに応じたり、『緑の党』の集会で報告したりした」(福島)、「福井の高浜原発に近い舞鶴、綾部などでは、事故への対策を見直すよう求めている」(京都)などの報告がありました。

 TPP問題では、農民連の真嶋良孝副会長が現状を報告。政府は、「総合的に判断して参加を決める」と閣議決定しているにもかかわらず、フランスで行われた日米首脳会談では、菅首相がオバマ大統領に「なるべく早く参加を決めたい」と述べていることを紹介。「早ければ菅首相が訪米する9月が大きなヤマ場になるのではないか」との見解を示しました。

 また、「参加反対の世論が50%を超えるなど、昨年秋にAPEC市民対抗行動に取り組んだ成果が現れている。共闘組織を地域に広げ、全国に発信することが被災地を激励することにつながる」(新潟)、「日本生協連は、国会でも『参加の賛否を決めていない』と公言。しかし、地方の生協からはTPP反対の声もあがっている」(生協労組)、「政府は震災を機に、消費税増税やTPP参加を一気に強行しようとしている。阪神・淡路大震災の時と同じだ。住民・被災者の要求を中心にすえた地域づくりを実現しよう」(兵庫食健連)などの発言がありました。

 最後に、坂口事務局長が、「住民・被災者中心の復興や原発ゼロに向けた運動に取り組んでいく。TPP参加阻止の取り組みでは、9月がヤマ場になることから、たたかいの時期を早め全国的に結集できる取り組みを提起したい」と述べました。

 日本共産党の有坂哲夫・農林漁民局次長が来賓あいさつし、全国保険医団体連合会がTPP反対の連帯メッセージを寄せました。

(新聞「農民」2011.6.13付)
ライン

2011年6月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2011, 農民運動全国連合会