「農民」記事データベース20110613-976-01

"米づくりが元気の源
"地域あげて田植えやるぞ

震度6強の長野・栄村

関連/ご協力ください 東日本大震災救援募金/放射能測定機器導入募金

 東日本大震災の翌日、3月12日に長野県栄村を直撃した震度6強の大地震。幸い犠牲者は一人も出ませんでしたが、村民2300人のうち、一時は約75%にあたる1700人余りが避難生活を余儀なくされました。当時、深い雪におおわれていた村も、震災から3カ月余りが過ぎ、雪解けとともに田畑の亀裂や水路の崩壊などあらたな被害が明らかになってきました。栄村の人たちは村の「絆」を何よりも大切にしながら、復興に取り組み始めました。その先頭に立っているのが、農民連の会員たちです。
(赤間守)


手掘りトンネルの水路を修復
復興の先頭に農民連会員

 田んぼの復旧など復興の中心に

 5月21日、農民連本部からふるさとネットワークの横山昭三さん、渡辺満広さん、長野県連の宮沢国夫さん、地元の広瀬進さんとともに、島田茂樹村長を訪ね見舞金を手渡しました。これは3月19日に続いて2回目の訪問です。農民連から「田んぼの復旧と住宅の再建を復興の中心にすえてほしい」と要請すると、島田村長は、小規模災害の復旧も個人負担にせず激甚災害並みの補助を行うことや、査定前の復旧も東日本大震災と同様に行うことなどを約束しました。広瀬さんは「みんな負担がどのくらいになるのかたいへん心配している。早く知らせてほしい」と伝えました。

 この水は生活に欠かせない…

 農民連の会員たちは、「われら相寄り村を成し…」(村歌の一節)の精神で、復興の先頭に立っています。横倉地区には7ヘクタールの水田がありますが、水路が崩壊して今年の作付けはできない状況でした。「なんとかできねえか」と、広瀬さんはじめ農民連会員である区長の小口重喜さん、農業委員の渡辺利正さん、農業改善組合長の山岸克己さんたちが話し合い、崩壊した60メートル余りの手掘りトンネルの水路を修復することにしました。

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全国から激励の寄せ書きが届いています

 しかし、村の修復工事を待っているわけにもいかず、人ひとりがやっと入れるトンネル内でお互いの体にロープをまきつけながら、自力で2日半がかりで修復しました。この結果、2ヘクタールの水田で作付けできることになりました。小口さんたちは「無茶なことをしたもんだが、若い者はトンネル内に絶対に入れなかった。しかし、これで集落を維持できる。この水は米づくりだけでなく、生活にも必要だし除雪にも欠かせない命の水なんだ」と誇らしげです。

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島田村長(左端)から復旧の状況を聞く

 まだ1メートル超える積雪のしたに

 一番心配だったのが、1000メートルもある山のてっぺんから水を引いている野々海(ののみ)池の状態でした。亀裂の入った山道を慎重に運転しながら、なんとか野々海に到着。まだ1メートルを超える積雪がある雪の上を滑りながら湖畔に立つと、取水口の崩壊はなんとかまぬがれている模様。しかし、ここから麓(ふもと)までつながる水路の被害の全容はいまだわかっていません。

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自力で修復した手掘りのトンネル

 普段より1週間以上も遅れて

 栄村では、農作業が普段より1週間以上も遅れています。すべての水田面積の1割にあたる約30ヘクタールで作付けができない状況ですが、農家は「なんとしても米作りを続けたい。これが元気の源だし、集落を守っていくことにもつながるんだ」と、地域をあげて田植えの準備を始めています。

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田植えにむけ、“すじまき”の作業をする横倉地区の農家


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放射能測定機器導入募金
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(新聞「農民」2011.6.13付)
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2011年6月

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