「農民」記事データベース20110523-973-03

大震災口実の増税許さない

復興財源は国と東電の責任で

関連/原発行政ゆがめる天下り


消費税 各界連が学習決起集会

画像 農民連も加入する消費税廃止各界連絡会議は5月11日、「復興財源は国と大企業の責任で! 消費税増税で国民への負担押し付けは許さない」をテーマに、国会内で学習決起集会を開きました。

 日本共産党の佐々木憲昭衆院議員が「大震災を口実にした庶民増税がねらわれている」と国会情勢を報告しました。

 日本共産党政策委員会の垣内亮さんは「災害復興の財源と財政問題」のテーマで報告。景気に大打撃を与える消費税増税ではなく、復興財源は、大企業の法人税減税をやめ、原発推進や米軍への思いやり予算、政党助成金などを削って確保すべきだと強調しました。

 「国民本位の税制と消費税」と題して、税経新人会全国協議会理事長の清家裕さんが講演。「国民本位の税制は、負担能力に応じた課税だ」とし、消費税は「生活費に課税し、貧困と格差を助長する」と述べました。また、民主党がめざす税制改革は「税務当局の権限強化、共通番号制度の導入にある」と指摘したうえで、「消費税増税は、原発事故に次ぐ人災だ」と批判しました。

 最後に参加者は(1)日常的な宣伝・署名運動(2)草の根からの学習と対話(3)広範な団体への共同の申し入れ(4)地方議会への意見書採択運動(5)すべての地域で各界連の再開・強化を確認し合いました。


原発行政ゆがめる天下り

経産省から東電などへ68人(過去50年)
問われる自民、民主両政権の責任

 東日本大震災に伴う東京電力・福島第一原発の事故により、多くの住民・農家が放射能被害に苦しみ、いまなお解決策がみえない状況が続いています。事故の責任は第一義的には東電にありますが、東電などから政治献金を受け取り、原発を推進してきた自民党政権と、現在の民主党政権の責任も厳しく問われなければなりません。また関係官庁から電力会社への天下りは、エネルギー行政をゆがめてきました。

 “もたれあい”の弊害

 長期政権を担ってきた自民党は、アメリカや財界と一体となって原発建設を推進し、世界有数の地震国でありながら、震源域に原発立地を次々と許可してきました。

 1998年の参院選では、東電副社長だった加納時男氏を公認。加納氏は2010年まで参院議員として原発推進をあおってきました。

 また、東電の会長や社長ら役員は、07年から09年までの3年間で1703万円の政治献金をしており、これは事実上の“企業献金”です。

 民主党は、野党時代から「原子力利用について着実に取り組む」(09年総選挙マニフェスト)と公約。政権につくと昨年6月に「エネルギー基本計画」を改定し、「2030年までに、少なくとも14基以上の原子力発電所の新増設を行うとともに、設備利用率約90%をめざしていく」と、自公政権時の計画を上回る目標を決めました。

 今回の事故を通じて、電力会社と官庁(経済産業省)とのもたれあい(癒着)の弊害も明らかになっています。その最たるものは、東電副社長が経産省(旧通産省)幹部の「天下り」指定席になっているという事実です。今年に入ってからも1月1日付で、前資源エネルギー庁長官の石田徹氏が東電顧問として「天下り」。1962年からはほぼ切れ目なく、旧通産官僚が天下り、東電の副社長として在籍してきました。

 また経産省は5月2日、同省幹部の電力会社への天下りについて、過去50年で、計68人が各社の役員や顧問に就任していたとの調査結果を発表しました。

 原子力委員会にも

 さらに、国の原子力行政の基本方針などを審議し、決定する原子力委員会も、5人の委員のうち1人は東電顧問の尾本彰氏です。1956年に同委員会が設置されて以降、8人の電力会社役員が委員を務めてきました。

 とくに2001年以降は竹内哲夫氏(元東電副社長)、前田肇氏(元関西電力副社長)、伊藤隆彦氏(元中部電力副社長)、そして尾本氏と、連続して電力会社役員が委員になっています。

(新聞「農民」2011.5.23付)
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2011年5月

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