「農民」記事データベース20110516-972-09

旬の味


 4月26日、昼下がりの東京電力本社前。「抗議・賠償請求行動」には、千葉と福島から牛が来て「モ〜」と鳴いて抗議した。「何の因果で東京のど真ん中にこなければならないのか!」と、つぶらな瞳がそう訴えているようだ▼山口県上関町の祝島(いわいしま)に原発計画が発表されてから28年。島民の反対運動が続いている。その暮らしを撮ったドキュメンタリー「祝(ほうり)の島」が全国で上映されている。島民がたゆみなく続けてきた自然に生かされる暮らし。丹念に島の日常を追う映像に、心の底から「原発はいけない!」と思う。週1回の原発反対のデモに、牧羊犬「マキ」も鉢巻きを締めて参加する。生きとし生けるものすべての問題なのだ▼抗議行動の後、農民は農水省と交渉した。「損害賠償を早く仮払いしろ!」という切羽詰まった要求の中で明らかになったことは、課長をはじめ7人の職員の中で、被災地・福島に行ったのはたった一人という事実だ。牛にも野菜にも顔向けできない日本の現実である。

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(新聞「農民」2011.5.16付)
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2011年5月

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