全日本民医連
いち早く支援団現地へ
命守る活動に全国から2289人
全日本民主医療機関連合会(略称・全日本民医連、藤末衛会長)は、大震災が起こって以降、いち早く、医師や看護師、医療スタッフが支援に入りました。その人数は、北海道から沖縄まで、被災地の岩手・宮城・福島を除くすべての都道府県から2289人に達しています。(4月24日現在)
東京・足立区にある特定医療法人財団・健和会から支援に参加した石井輝一さん(48)と山名美奈子さん(48)に、支援活動や感想を聞きました。
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山名さん(左)と石井さん |
避難者と心通じもううれしくて
石井輝一さん(医療スタッフ) これまで3回支援に入りました。宮城県塩釜市にある坂総合病院の近隣の被災者を訪問し、相談活動を行いました。そこで、津波の被害にあって後片付けをしているおじさんに出会いました。その方が「家の中に入って見てみろ」というので、すこし戸惑いながら入らせてもらいました。本当に津波のエネルギーって恐ろしいと痛感しました。なぜなら、家の中に、津波のつめ跡がハッキリ残っていたからです。
それから、小学校の避難所を訪問し「足湯で癒やしてあげよう」と計画しました。しかし、何度も何度も呼びかけましたが、心を閉ざしている方が大半で駄目でした。その時、うしろのほうから「ありがとう」って声が聞こえました。その時は本当にうれしかった! やっと心が通じたかなって思いました。それがきっかけで足湯ブースはあっという間に行列ができました。長い間、お風呂に入っていない人たちの足を洗ってあげると、小さい声で「気持ちいい」って言ってくれました。
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「足湯」をしてあげる医療スタッフ |
これからは、心のケアも大事だと思いました。
看護師の腕章に多くの声かかる
山名美奈子さん(看護師) 私も坂総合病院を拠点として地域支援に入りました。病院周辺で津波被害にあった地域を歩くと、足元に茶わんの破片や子どものおもちゃなどが散乱していて、津波で生活そのものが一瞬にこわされたんだな、と痛感しました。
友の会の旗を持ち、看護師の腕章をして地域を回っていると、「娘が胸が痛いと言っている」「妻のせきが止まらない」などと声をかけてくる人もいました。坂総合病院は、本当に地域に根ざした医療を普段からしているところだなと思ったし、民医連の強みが出ていたと思います。通院してほしい人もいましたが、ガソリンがなく足がないって言われました。本当に悔しいです。
今度の震災は規模が大きく、一人ができることはなんてちっぽけなのかと思いました。でも、まだまだ支援は必要です。看護師の仲間は、普段の過密な業務のなかでも、手をあげて「支援にいきたい」と言ってくれています。全国の民医連の仲間が、バトンを渡しながら継続していくことが大事だと思います。
(新聞「農民」2011.5.2付)
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