旬の味
原子力発電所に電気がない! 恐怖におののく序章であった。「想定外の津波が」と東電も国も説明するが、“絶対安全”を振りかざし、危機への忠告と提言に耳をふさいできた無責任さは、「レベル7」をとうに超している▼この1カ月余。情報を過小に報告し、隠しきれなくなって事実を発言するという繰り返しだ。さらに驚くべきことは、炉心冷却水を海に放水したことだ。沖に向かって呆(ぼう)然とたたずむ漁師、収穫目前の野菜やシイタケを廃棄せざるをえない農家、愛(いと)おしい牛に頬(ほお)ずりしながら別れを告げる畜産農家の心情をどれだけ傷つけたか▼こうしている間にも、放射性物質の汚染で、飯舘村など緊急避難区域が広がっている。怒りと不安を交錯させながら、一刻も早い収束を祈りながら時を過ごす。悲しみに耐え復興へと歩みを前に踏み出した被災地には、表情に明るさが戻ってきた。東電と国がはっきりと補償を明言することが、復興への確かな道だ。当たり前にものづくりができる日がほしい。 (啓)
(新聞「農民」2011.4.25付)
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[2011年4月]
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