2011年4月
■2011年4月25日(第970号)
- 今年も米作りしたい
- “農作業ができない”―農家にとって、これ以上の苦しみはありません。放射能汚染で野菜を出荷することができず、涙を流す農家。それだけでなく、米の主産地の宮城県や福島県では、津波による塩害ばかりか、放射能汚染によって田植えができず、今年の米の作付けが絶望的な地域があります。
さらに農業用排水施設が全国で380地区、約349億円(4月13日現在)という甚大な被害を受けています。農水省は田植えに間に合うよう、応急仮工事や査定前着工などの緊急対策を講じていますが、早期改修とともに生産調整数量の見直しを行うべきです。
- 羽鳥湖ダム破損で3200ヘクタール田植えできず/大震災救援募金 受けつけています
- 福島県須賀川市や白河市、泉崎町、鏡石町、矢吹町の農業にとって大切な羽鳥ダム(農林水産省が管理する直轄ダム)。その水を使用する国営隈戸川土地改良事業で、地震のためにダムのえん堤に亀裂が入り、羽鳥湖から取水した水を各地に流すパイプが11カ所で破損しました。そのため、農業用水が供給できず、約3200ヘクタールの田んぼで田植えができない事態となり、農家にとっては死活問題になっています。
- 大津波で壊滅的被害の陸前高田(岩手)を行く/喜ばれた特産「千両茄子」
- 4月6日、全国から寄せられた米や野菜、日用品などの救援物資を積み込み、全国連副会長の堂前貢さんの車に同乗し、地震と津波で大きな被害を受けた陸前高田市に向かいました。
- 一刻も早い収束、全損害の賠償を
- 群馬農民連は4月12日、東京電力群馬支店に対し「原発事故の被害を最小限に食い止めるとともに、全損害の賠償を求める要請」を行いました。東電側から鈴木宏総務部長が対応しました。
- 農のこころ
- 田に水を張って平和な夜となりぬ
- “暫定基準”は“がまん基準”
- 特別シンポジウム「原発・核兵器 私たちの未来」が4月11日、原水爆禁止日本協議会の主催で開かれました。急な開催呼びかけにもかかわらず、300人を超える参加者で会場は超満員となり、熱心な討論が繰り広げられました。パネリストとして、国会で原発問題を追及してきた日本共産党の吉井英勝衆議院議員と、放射能防護学が専門の日本大学専任講師の野口邦和さんが講演。福島県の浜通り農民連の三浦広志さんが、放射能汚染に苦しむ被災者として特別発言しました。野口さんと吉井さんの2人の発言要旨を紹介します。
- 米粉の魅力 まるごといただき!
- 米粉で野菜てんぷら/チキンカレー
- 全国の仲間の激励をうけて浜通り農民連の事務所再建/みかん・野菜 13トン車に満載
- 津波の甚大な被害と放射能汚染で困難を抱えている福島・浜通り農民連は、新たな事務所を別な場所に確保し、再出発の準備が始まりました。
- 風評被害を吹き飛ばせ!!
- 農民連ふるさとネットワークは、「原発による風評被害で売れなくなったり暴落している茨城県・千葉県の野菜を応援しよう」と、注文を受け付けています。
- 旬の味
- 原子力発電所に電気がない! 恐怖におののく序章であった。「想定外の津波が」と東電も国も説明するが、“絶対安全”を振りかざし、危機への忠告と提言に耳をふさいできた無責任さは、「レベル7」をとうに超している
■2011年4月18日(第969号)
- 農業“汚した“東京電力は あらゆる償いを果たせ!/事故は人災、全て償え
- 茨城県では東日本大震災に伴う福島第一原発の事故によって、4月5日現在、ホウレンソウ、パセリ、原乳が出荷停止になっており、ほかの作物も甚大な風評被害を受けています。茨城農民連は5日、水戸市の東京電力茨城支店前で、原発事故による全損害の賠償を求める要請行動を行いました。県内全域の農家のほか埼玉、千葉の両県連からも応援にかけつけ、総勢40人が参加しました。
- 放射能測定せず出荷停止
- 政府の原子力災害対策本部は4月4日、千葉県旭市で生産されたホウレンソウ、シュンギクなどを出荷停止とするよう、千葉県知事に対して指示を出しました。しかし農民連本部がこの件に関して4月5日に厚労省に問い合わせたところ、ホウレンソウについては、その根拠となる放射性物質の測定が行われていないことが判明。農民連は4月6日、急きょ、厚労省に出荷制限をただちに撤回することなど緊急要請を行いました。
- 東都生協 農民連食品分析センター 放射性物質検査で協力/簡易な放射能検査スタート
- 東都生協は、正確な放射能数値を測定できるゲルマニウム半導体検出器を備えている唯一の生協で、NHKでも放映されました。茨城県東海村で1999年に起こった放射能臨界事故で本領を発揮し、今回の福島第一原発事故でも生産者の野菜を検査し、正確な情報提供と風評被害の防止に活躍しています。
- 農地を必ず次世代に渡すぞ/損害額報告書つくろう
- 福島県農民連は4月2日、産直農協と合同の会議を開き、緊急の案内にもかかわらず30人が参加しました。そして、福島第一原発による放射能汚染にさらされ続け、出荷制限や摂食制限が続く中、福島の農業と農地を次の世代に手渡すために、すべての損害を東京電力と政府に求める「オール福島県」の行動をおこすことを意思統一しました。
- 京都農協の労組つぶしを断罪
- 3月31日、東京地裁民事第19部(青野洋士裁判長)は、京都農協の経営者が2009年3月に提訴した「中央労働委員会による不当労働行為救済命令取消請求」事件について、「原告の請求を棄却する」判決を言い渡しました。
- 農のこころ
- 耕人の四隅くまなく陽を均す
- 三陸に救援物資届けたい/大震災救援募金 受けつけています
- 岩手県農民連女性部の7人は3月30日、陸前高田市に支援に入り、車2台で250キログラム以上の物資を5カ所に届けて回りました。
- 身も心もあったまった、涙が…/被災・三陸沿岸に食料届け 米や野菜作り支援続けたい
- 約800人が避難している宮城県女川町の総合体育館。4月3日、宮城農民連は、山形・庄内産直センターと地元の年金者組合などの協力を得て、豚汁の炊き出しをしました。これは、「なんとかあったかいものを」という避難所からの要望にこたえたもの。
- 悲しみ、悔しさ、不安のなか気持ちを込めて救援活動/1400人に豚汁炊き出し
- 福島・須賀川農民連は、新日本婦人の会須賀川支部とともに、須賀川市内の避難所で約90人の炊き出しをしました。鉄板で焼きそばを作り、磯辺焼きやきなこもち、煮物、うどん、りんごなどを提供しました。避難している人たちから、喜びの声が上がりました。
- 旬の味
- この冬は、ここ四国でも近年にない寒さと雪に見舞われた。わが町のスキー場も、めずらしく12月中旬から3月の「春分の日」までにぎわった
■2011年4月11日(第968号)
- 人災・原発事故に立ち向かう福島県農民連/大震災救援募金 受けつけています
- 東日本大震災がもたらした東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能被害が心配される福島県。原発事故が生活復興への足かせになっているもとで、福島県農民連は農家の不安に応えて、放射能問題を正しく理解し、県に対しても農家の立場で対策をとるよう要請するなど、困難な問題に立ち向かっています。
- 被害農民に全面賠償せよ
- 農民連は3月31日、東日本大震災にかかわる原発事故や地震・津波被害を受けた農家への救済策について、農水省に緊急要請を行いました。
- 急がれる生活費手当て/千葉県農民連支援第3便
- 3月25日朝、全国から福島県農民連の事務所に寄せられた救援物資をワゴン車に満載して、福島県北農民連の服部崇さん、浜通り農民連の中井信也さんと、相馬市の北にある新地町へ向かいました。
- “被災農民を受け入れます”
- 津波で壊滅的な被害を受けた地域や、原子力発電所の事故で退避地区の対象となった福島県浜通り地方には、ふるさとを離れ、移転も含めて長期の避難をせざるを得ない農家がいます。被災した農家は、以前のように生活できるのか、営農が可能かどうかという大きな不安を抱えています。
- 無謀なTPP参加やめよ/TPPのこと よくわかった
- 東北・関東を襲った震災は、命の礎である食料の確保がかけがえのない課題であることを改めて浮き彫りにしました。農水省は、TPP(環太平洋連携協定)に参加し、農産物の輸入を完全に自由化した場合、食料自給率が40%から13%に急落し、米生産は9割減ると試算していますが、避難所で寒さに震え、おなかをすかしている被災者の惨状を見るにつけても、TPP参加の無謀性は明白だといわなければなりません。
- 「TPP、ろくなもんじゃねえ」/「TPP等問題を考える埼玉の会」発足
- 2月24日付の朝日新聞茨城版に、茨城農民連の村田深書記長が登場。ギター弾き語りで「ろくなもんじゃねぇ、TPP」を披露した姿が掲載されました。
- やっぱり農業を続けたい(1/3)/(2/3)/(3/3)
- 東日本大震災で最大の死者・行方不明者が出ている宮城県。衛星画像で確認できるだけでも耕地面積の11%が冠水・土壌流出するなど、農業・農地も甚大な被害を受けています。いまだライフラインも復旧しない地域が数多く残るなか、懸命の復旧活動に取り組む宮城県東松島市を訪ねました。
- 農民連に救援募金届ける/義援金を一番有効に使っている農民連に
- 神奈川県で地産地消の活動に取り組む「生産者と消費者が手をつなぐ会」は3月30日、安部瑞枝副会長が農民連本部を訪れ、会員から寄せられた救援募金を農民連・地震対策本部の白石淳一会長に託しました。
- 池上保子 監修 食べもの栄養事典
- 20数年間、病院で管理栄養士として栄養指導などをしてきた池上保子さんは、「カラダに効く食材を効果的に組み合わせ、毎日の食事をおいしく」との願いを込めて、この本を出版しました。
- 米粉の魅力 まるごといただき!
- 近年では、おいしい米粉パンが出回っていますが、そもそも小麦粉パンと米粉パンの違いは何でしょうか。
- ビア・カンペシーナの仲間から お見舞いメッセージと救援カンパ
- 韓国の全国農民会総連盟(KPL)や韓国女性農民会(KWPA)、ベネズエラ農民組織、カンボジア「農民・自然ネット(FNN)」、スペイン・バスク、ドイツなどビア・カンペシーナの仲間から、お見舞いのメッセージと救援カンパが続々と寄せられています。その一部を紹介します。
- 地域の生きる力どう作るか
- 巨大地震が起こった翌日の3月12日、福岡県自治体問題研究所が主催して、「公務・公共従事者のための交流集会」がうきは市で開かれ、35人が参加しました。テーマは「地域の生きる力をどう作るか」です。
- ナズナのおひたし?
- 長野・佐久では、蕗(ふき)の薹(とう)よりひと足早いのがナズナである。高い山々が連なる信州では、北西からの雪は佐久へ来るまでに降ってしまい、佐久の冬は青空が多い。だから地下はまだ凍っているが、表面の土だけは解けては乾く。その繰り返しで、表土は乾いてサラサラになる。だから真冬でも稲刈り鎌でナズナを採ることができる。
- 心を動かすラーメン作りたい
国産食材使って自給率アップ/安西美佐子さんのイラスト
- 田園風景がどこまでも広がる埼玉県有数の稲作地帯、加須市に、国産材料100%でラーメンを作っているラーメン店「ラーメン空海」があります。店に一歩足を踏み入れると、「当店のラーメン、すべて国産食材です」という大きな表示をはじめ、産地表示や熱いメッセージがズラリ。昨年夏には、埼玉食健連(農林業・食料・健康を守る埼玉連絡会)にも加入したオーナーの松井潤一さんに、食の安全・安心と、食料自給率向上にかける熱い思いを聞きました。
- 旬の味
- ここも大震災の被災地だが、家屋の一部が損壊した程度だったので、被害の大きい地域の仲間に炊き出し用の食材や支援物資を送った
■2011年4月4日(第967号)
- ただちに救済策をとれ/被災会員の懸命な奮闘に感銘/大震災救援募金 受けつけています
- 農民連と全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)は3月24日、鹿野道彦農水大臣に対し「東日本大震災についての緊急要請」を行いました。
- 新潟県農民連 救援物資を福島の倉庫へ/近畿ブロック 大型トラック満載
- 新潟県連は、福島県農民連に救援物資の第一便を搬送することを決め、県連役員や各単組に救援物資と募金を呼びかけました。
- 農民連へ募金 全国から続々
- 農民連・地震対策本部には全国から募金が続々と寄せられています。
- 集荷円滑化米(飼料米)を主食用へ
- 農水省の筒井信隆副大臣は3月17日、記者会見で22年産米の“過剰米処理”として「米穀安定供給確保支援機構」が飼料用に買い上げた17万トンを、主食用に利用することを検討していると述べました。
- 農のこころ
- 茎立(くくだち)の彩翳(いろかげ)らせて放射物
- 水田の液状化、水路崩壊が不安/TPP反対ののぼり旗たてて横浜港周辺自動車パレード
- 東日本大震災が発生した翌朝の12日、震度6強に襲われた長野県栄村。19日、農民連本部から横山昭三常任委員が長野県農民連の宮沢国夫事務局長や地元栄村農民連の廣瀬進さん(元村議)とともに村役場を訪ね、島田茂樹村長を見舞い、見舞金を手渡しました。
- 東ティモール農協づくり視察して (下)
- 東ティモールの憲法第138条では、「協同組合ならびに社会セクター」が明記され、独自の経済活動の形態として重要性が認められています。その位置づけは、非政府(NGO)・非営利(NPO)と民衆参加が特徴です。この憲法にもとづき2004年10月に制定された協同組合法では、国際協同組合原則の全文を掲げ、協同組合のアイデンティティー(自己証明)を確認しています。しかし、政府が推進する日常の運営指導は、資本金強化を中心とした信用事業が重点です。
- 相馬に必ず戻って農民連事務所・復興活動の拠点づくりに奔走したい/息子が再び農業に携われるような施策を
- 私は、相馬市で3・11重税反対集会に参加し、デモ行進に出ようかという時に地震にあいました。地面は液状化で一面水浸し、道路は地割れして余震のたびにその割れ目が伸び縮みしていました。デモは急きょとりやめとなり、津波は予想していなかったので大急ぎで申告を済ませ、南相馬市の自宅をめざしました。帰路は水没している部分も多く、山越えをして避難所にたどり着きました。
- 孤立する南相馬市へ満載ワゴン車
- 福島県農民連は3月19日、神奈川農産物供給センターの今森節夫さんらと、ワゴン車2台に支援物資を満載して、地震・津波・原発災害で孤立する南相馬市へ。桜井勝延市長は「まったく支援物資が届かない」と話しました。農民連は「今後も支援を続けます」と伝えました。
- 旬の味
- 原発人災が被災地への救援を妨げ、被害をさらに深刻にしている。首都圏の水道水から基準を超える放射性ヨウ素が検出され、幼子を持つ母親を震え上がらせている。農家は生乳を捨て、一部の野菜は出荷停止に追い込まれている。終わりが見えないなか、これほどの苦行があろうか
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