「農民」記事データベース20110418-969-10

旬の味


 この冬は、ここ四国でも近年にない寒さと雪に見舞われた。わが町のスキー場も、めずらしく12月中旬から3月の「春分の日」までにぎわった▼東日本大震災が起こった時は山で間伐をしていた。その後3日間、雪の舞う中、クヌギの苗が届いたので、待ったなしで植え付けた。さすがにお彼岸が過ぎると、急に春めいてくる。蕗(ふき)の薹(とう)と土筆(つくし)がいっしょに顔を出し、桃、杏(あんず)、桜、梨の花まで一気に開花し、桃源郷のようなたたずまいになる▼地震・津波で被災され、放射能汚染から逃れてきた福島の仲間が、はるばる愛媛県連の事務所を訪ねてきた。家も農地も放置し、一家そろって避難せざるを得なかったことや、さしあたって仕事を見つけ生活費を確保しなければならないこと、先が見えない不安などを話され、その心労は察して余りある▼それでも農民は、いつの時代も種を蒔(ま)いてきた。蒔かぬ種は生えない。厳しい冬を乗り越えれば、必ずあたたかい春が来る。今日、みんなの心を満載にして10トン車が被災地に向かった。

(森)

(新聞「農民」2011.4.18付)
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2011年4月

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