「農民」記事データベース20110328-966-12

旬の味


 3月11日、姉と二人きりでいた時間に地震が起きた。犬を抱えて裸足(はだし)で飛び出した私に、「落ち着きな!」と姉が言ってくれた▼それでもしばらく揺れが続き、庭の物干しにぶらさがった洗濯バサミがじゃらじゃら鳴っていて、とても落ち着けそうもなかった。幸いわが家に被害はなく、私のビビりを家族中に笑われただけで済んだ。後で聞くと、税金申告で外出中だった母は築20年のおんぼろ鶏舎がつぶれたと思ったらしい▼茨城県の牛飼い仲間と連絡が取れない。ひょっとしたらと、嫌な思いが頭をよぎり始めた3日目の夜、ようやくメールがあった。300頭の牛を飼っているが、牛も家族も無事だという。いまだにライフラインは復旧しないし、携帯電話の電波も不安定だけど、「うちには湧水(わきみず)とディーゼル発電機があるから大丈夫。わりと快適なキャンプ生活だよ」と、冗談まで聞かせてくれた▼彼女はメールの最後を「でも亡くなった人もたくさんいる。これから地域のみんなでがんばるよ」と締めくくった。

(よ)

(新聞「農民」2011.3.28付)
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2011年3月

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