東ティモール農協づくり視察して
(中)
有機栽培でコーヒーづくり
インドネシアと独立闘争が続くなかで、国土は荒廃しています。そのなかで、国内総生産の4分の1を農業が占めていますが、国全体での食糧自給は実現していません。主食の米をはじめ、とうもろこしなどをインドネシアなど近隣諸国から輸入しています。
地図で見るとおり、東ティモール西部の山岳地帯は、コーヒーのほかに自給用の野菜・豆類・イモ類などを栽培しています。地元の人々は、余剰分を地元のマーケットに持っていって販売し、稼いだお金でタイ米などの輸入穀物を購入して帰る生活です。東部でも小高い山が続いていますが、海岸地域には水田(棚田)が広がり、漁業と水田農業で生活しています。
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(1)東部海岸平野地帯 ―米の産地
(2)西部山岳地帯 ―コーヒーの産地 |
オーストラリアとの間の南方海域には海底油田があり、両国での共同石油開発区域となっています。石油はパイプでオーストラリアに運ばれており、東ティモール政府に対してはロィヤルティーズ(権利金)の形で支払われています。その収入は、2005年に設立された石油基金によって管理・運用されていますが、2009年9月現在、その資産総額は53億米ドル。国家財政の8割以上を石油基金からの収入に依存しています。
こうした経済構造の中で、国民1人あたりのGDPはわずか450米ドルで、1日1ドル未満で暮らす人々も多く、貧困問題が最大の課題です。また、30歳以下が人口の7割を占めるなか、若者の雇用機会をつくっていくことも当面する重要課題となっています。
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マーケット周辺の道路端でイモや野菜を売る農民たち−アイナロ県マウベシにて |
輸出農作物で最も力を注いでいるのが、コーヒー豆の有機栽培。PARCICなど日本のNGOによる技術支援によって大きく発展しています。有機栽培の「カフェ・ティモール」は、アメリカの大手コーヒーチェーンや日本の外食産業でも活用されていますが、国際市場での地位はまだまだ低いままです。
(つづく)
(新聞「農民」2011.3.28付)
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