「農民」記事データベース20110321-965-08

今こそ小農民権利の保障を

ビア・カンペシーナ
国連人権理事会にアピール文提出

関連/農業を犠牲にする韓米FTA


農民連 外務省へ支持要請

 ビア・カンペシーナは、2000年から「小農民権利宣言」を世界的に認めさせるために運動を展開してきました。この運動が実り、今年1月の国連人権理事会諮問委員会の研究会では、「小農民と農村労働者の権利を守る新しい法律文書が必要だ」と確認されました。

 ビア・カンペシーナ国際調整委員会責任者のヘンリー・サラギ氏は「私たちの『小農民権利宣言』を正式な法律文書として承認させるには加盟国の同意が必要であり、実現まであと一歩のところまできている」と強調。国連人権理事会(2月28日〜3月25日)が始まる前に、南と北の農民が団結して、各国の国連人権理事会諮問委員会の代表団に要請アピール文を提出するよう呼びかけました。

 この呼びかけを受けて、農民連は2月28日、外務省人権人道課を訪れ、ビア・カンペシーナの「小農民権利宣言」を届け、国連人権理事会諮問委員会の提案を支持するよう要請しました。

 国連人権理事会は現在スイス・ジュネーブで開かれています。ビア・カンペシーナは3月2日、食糧高騰や飢餓などが小農民の権利を侵害していると訴え、「小農民や農村労働者が食糧危機や飢餓を打開する運動の先頭に立つ必要がある」などと強調する声明をインターネット上で公表し、「小農民権利宣言」を世界的に認めるよう訴え続けています。


農業を犠牲にする韓米FTA

「TPPに反対する人々の運動」がシンポ

韓国KPLのカク政策局長
問題点と運動を報告

 農家や市民らでつくる「TPPに反対する人々の運動」は2月26日、東京都内で「TPPでは生きられない! 座談会」を開きました。このシンポジウムに、韓国のビア・カンペシーナ加盟組織である全国農民会総聯盟(KPL)の郭吉子(カク・キルジャ)政策局長が招かれ、韓国で進められているFTA(自由貿易協定)の問題点とこれからの運動について発言しました。以下、発言の一部を紹介します。

画像
KPLのカク・キルジャさん

 韓国政府は、FTAに対して3つの姿勢を示しています。第一に、アメリカ式の新自由主義・グローバル化を積極的に受け入れていく。第二に、すべての分野で商品の関税を撤廃した包括的な協定を進めていく。第三に、農業や公共の領域など、すべてを犠牲にしてでも大企業のための輸出協定を進めていくことです。

 これは、“関税撤廃の例外品目は最低、関税即時撤廃品目は最大の交渉”といわれ、特に韓米FTAは、農業を犠牲にして輸出を増やし、その資金で食糧を輸入するもので、韓国国民は大きな怒りの声をあげています。

 また、現在の農産物セーフガードは、適応期間が不十分かつ不明確であり、セーフガード措置が可能な品目は30品目ほどに過ぎません。また、FTA締約後に予測される「保護された品種・作物の単一化」によって、供給過剰におちいる可能性があり、政府はこうした点を調査していません。これでは韓国の農業は崩壊してしまいます。

 韓国国民は、食糧主権を脅かすすべてのFTAに反対する運動に取り組んでいます。私たちKPLは、反対の力は大衆・国民のなかから生まれると考えています。韓国政府が韓米FTAを国会で通そうとする4月には選挙が行われますが、FTAに賛成する政治家を落選させる「落選運動」を行っていきます。

 相手が自由貿易を世界に広げようとする中で、農民・市民が国際的な連帯を広げて世界的な運動を展開していくことが、いまこそ重要です。

(新聞「農民」2011.3.21付)
ライン

2011年3月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2011, 農民運動全国連合会