TPP推進の「連合」を強く批判フード連合渡邊会長 農業・食料団体との共闘も表明
3月2日、連合通信社が主催する「時代を読む勉強会」が開かれ、食品関連企業の労働組合で構成するフード連合(日本食品関連産業労働組合総連合会・注)の渡邊和夫会長が「私たちの食卓が危ない―TPPへの稚拙(ちせつ)参加に喝(かつ)!」と題して講演しました。この中で渡邊会長は、上部団体である「連合」(日本労働組合総連合会)の“TPP推進支持”を強く批判し、「食品関連産業の危機と受けとめ、積極的に行動していく。連合指導部には、ていねいな議論を行うよう要請したい」と述べました。TPP推進の「連合」の中にも、反旗があがっています。
◇ 民主党政権を支える有力な団体となっている「連合」は、昨年11月9日、「(TPPを)評価する。政府の強いリーダーシップを期待する」との事務局長談話を発表しました。これに対してフード連合は1月24日、「TPPへの参加の是非を慎重に判断すべき。政府が拙速に対応することには反対」を表明しました。 講演した渡邊会長は、「連合の談話は、議論の積み上げなしに決定したもので、自動車や電気産業がすべてという意識しか持っていない。連合は2008年10月に、小泉・竹中流の市場原理主義を批判し、食料自給率の向上と持続可能な農業をめざすことなどを柱とした政策を出したが、この政策とTPPとはどうみても合致しない」と批判。「食品メーカーの経営者のなかには、関税がゼロになれば海外から安い食材が入ってくると期待する向きもあるが、中・長期的に見れば、世界は食料不足と農産物の値上がり傾向の中で輸出規制が行われ、カネがあればどこからでも買える時代ではない」など、TPPをめぐる問題点を解明しました。 また、参加者の質問に答えて「連合傘下の労働組合の中にも、TPP参加反対を表明している労働組合があり、共闘づくりも考えていきたい」と答えました。
(注)フード連合とは…
農業の崩壊や自給率を後退にTPP 東都生協が「基本見解」東都生活協同組合(本部・東京都世田谷区、組合員22万3000人)は2月24日、「日本農業の崩壊や食料自給率の後退につながるTPPへの参加には反対」との「TPPに対する東都生協の基本的見解」を発表し、あわせて「日本の農業を守り食料自給率を向上させる施策を求める要望書」を菅首相あてに提出しました。「基本的見解」では、「(TPPへの参加は)東都生協が、食料自給率向上をめざし、産直や国産応援の運動をいっしょに推進してきた全国に広がる生産現場の仲間を窮地に追い込むことにもつながり、黙過することができない」「東都生協がすすめている産直運動と日本農業を守り発展をめざす取り組みは、20万世帯を超える消費者に支持され、歴史的実践を積み重ねてきた。食の安全に関するしくみの崩壊は、東都生協が願う『安全な食料の確保』からかけ離れたものになってしまう」「TPPへの参加は、食料の安定供給と食の安全性を脅かし、子どもたちの豊かな未来を奪うことにつながるもの」などと表明しています。 そして要望書では、(1)日本の農業が発展するための実効性のある総合的な政策とその財政的根拠を明確にすること、(2)日本の食料が国際的な食糧事情に左右されることなく、安全・安心で安定した食料供給を保障するために、確実に食料自給率を向上させること、(3)TPP24項目の具体的交渉内容の情報開示と国民への十分な情報提供を行うこと、の3点をあげています。
(新聞「農民」2011.3.21付)
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[2011年3月]
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