ふきのとうが 春が来たと顔を出し
桜が 種を播けよと咲き誇る
ここは出羽丘陵の北端 小さな盆地。
木枯らしが落ち葉を敷き詰め
静かな眠りについた台地の上に
七尺を越えて雪が降る
やがて若竹が 残雪を跳ね退ける頃
雪解け水で清められ
大地は蘇生を繰り返す。
祖国の独立は 食の自給から
先人の熱き教えを胸に刻み
お父から継いだ田と畑、倅と耕して50年
お父はお爺と50年
100年経ても台地の営みは変わらない。
この地を、他人は山間僻地と呼ぶ
山は山菜の宝庫
朝、露に照る野菜と山菜を抱え
高齢者を先頭に 出荷所は賑わう
山が好きだから駆け巡り
楽しく出荷できる
「私の生き甲斐だ」と女性の声
百姓が好きだ
「俺は150まで野菜を作るぞ」と男性
湧き上がる歓声
朝採り午後販売 夕餉を賑わす業
輸入野菜に 真似る事など出来まい。
真夏日茹る暑さも
緑豊かな風に癒され
たわわに広がる稲穂
そんな故郷が好きで せせらぎが愛しいから
暮らしは楽ではないが、仲間とともに
世相の嵐は踏み越えられる。
明日来る、春を信じよう。
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