「農民」記事データベース20110307-963-10

旬の味


 「啓蟄(けいちつ)」は二十四節気の3番目。立春、雨水の次に来る。ちょうど今ごろ、地中で冬ごもりをしていた虫たちが春の到来を感じ、草木が芽吹くと同時に地上へはい出してくる▼わが家のそばにマンモス広場があり、その一角に池がある。いまから10年ほど前、住民が孟宗(もうそう)竹でやぐらを組み人力で掘り進む「上総掘り」で、160日かけ地下170メートルのところで井戸を掘りあてた。分量6リットルのわずかな湧(わ)き水だが、そこには水草が生い茂り、トンボやカエルなどの昆虫が集まり、鳥たちが水浴びし、子どもたちがどろんこになる。まさに生物多様な池なのだ▼この時期、夜ともなれば“ギェ〜ギェ〜”とアヒルの鳴き声かと聞き間違うような、なんともすさまじい声が池の中から聞こえてくる。正体は冬眠から覚めたカエルだった。歓喜の声か、はたまたこの世の急変に驚いているのか▼いま全国各地で「TPP参加反対」の声が、「啓蟄」のごとく沸きあがっている。こちらは、菅政権への怒りと食糧主権を求める声だ。

(あ)

(新聞「農民」2011.3.7付)
ライン

2011年3月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2011, 農民運動全国連合会