旬の味
「啓蟄(けいちつ)」は二十四節気の3番目。立春、雨水の次に来る。ちょうど今ごろ、地中で冬ごもりをしていた虫たちが春の到来を感じ、草木が芽吹くと同時に地上へはい出してくる▼わが家のそばにマンモス広場があり、その一角に池がある。いまから10年ほど前、住民が孟宗(もうそう)竹でやぐらを組み人力で掘り進む「上総掘り」で、160日かけ地下170メートルのところで井戸を掘りあてた。分量6リットルのわずかな湧(わ)き水だが、そこには水草が生い茂り、トンボやカエルなどの昆虫が集まり、鳥たちが水浴びし、子どもたちがどろんこになる。まさに生物多様な池なのだ▼この時期、夜ともなれば“ギェ〜ギェ〜”とアヒルの鳴き声かと聞き間違うような、なんともすさまじい声が池の中から聞こえてくる。正体は冬眠から覚めたカエルだった。歓喜の声か、はたまたこの世の急変に驚いているのか▼いま全国各地で「TPP参加反対」の声が、「啓蟄」のごとく沸きあがっている。こちらは、菅政権への怒りと食糧主権を求める声だ。 (あ)
(新聞「農民」2011.3.7付)
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[2011年3月]
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