米モデル事業(変動部分)交付金10アール1万5100円に農家の実際の手取りとは大きな差
2月22日、農水省は米戸別所得補償モデル事業の米価下落分を補てんする変動部分の交付金単価を発表しました。標準的な農家の販売価格(手取り)1万1978円(60キロ当たり)に対して、2010年産の農家の販売価格は1万263円で、その差額は1715円あったとし、これを10アール当たり530キロの平年収量で換算し、10アール当り1万5100円を交付するとしています。交付金は2月25日から3月末までに支払われ、それに先立ち農家には金額が通知されます。
求められる生産費に見合う価格補償全量1等米前提の「補償基準」が問題変動部分は60キロ1200円程度の下落を想定して予算を組んでいましたが、予想を超える米価大暴落で単価は1715円にはね上がりました。しかし、モデル事業の加入面積が予定を下回ったため、予算内には収まった模様です。農家にとっては固定部分と合わせると10アール当たり3万100円、60キロ換算で全国平均3400円余りになります。逆にいうと、それだけ2010年産の米価暴落が激しいものであったことを物語っています。 また、実際の農家の手取りは1万263円とは大きくかけ離れています。東北の概算金は軒並み9000円かそれ以下であり、その他の地域でもコシヒカリでようやく1万円。ほかの銘柄は9000〜8000円台が実態でした。 さらに補償基準が全量1等を前提にしているのも問題です。2010年産は異常高温の被害で、収量も悪いうえに2等、3等米が多発しました。60キロ当たり2等で1000円、3等なら2000円も手取りは減っているのです。筒井信隆農水副大臣は「1等米を標準と決めているわけではない。今後の状況を見て決める」(昨年10月21日、記者会見)と述べていましたが、等級落ちはまったく反映されていません。
交付金積み上げても生産費13703円そしてなによりも重要なことは、本来、補償されるべき米生産費は1万6500円程度(農水省公表、全参入生産費07〜09年平均)であり、今回の交付金を積み上げても保障される生産費は1万3703円にしかなりません。2011年度の実施にあたっては、(1)需給と価格の安定に国は責任を持ち、生産費に見合う価格の保障、(2)所得補償基準を実際の生産費(1万6500円程度)にすること、(3)転作には主食に見合う所得を補償するなどの要求を強めることが求められています。 (農民連ふるさとネットワーク 横山昭三)
(新聞「農民」2011.3.7付)
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[2011年3月]
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