「農民」記事データベース20110228-962-07

農民連青年部第19回総会

TPP阻止の先頭に

関連/初参加者の感想


農家の青年も消費者も
「農の心」でつながって

 農民連青年部は2月11、12の両日、都内で第19回総会を開きました。今回も非農家の青年を含め、多彩な顔ぶれが集い、料理を囲んで酒を酌(く)み交わしながら、これからの日本の食と農について、存分に語り合いました。総会と交流で、若者たちがつかんだものは――

 今年も多彩な顔ぶれ80人も

 初日は、過去最高の約80人が参加。杵塚歩部長が開会あいさつに立ち、「農民連の定期大会(1月)で全国革新懇の三上満さんが発言されていた『農の心』をいろいろな人がもつことで、農業や文化が守られる。私たちが、消費者に『農の心』を伝えることが求められている」と呼びかけました。

 農民連の白石淳一会長が来賓あいさつ。「青年がTPP阻止のたたかいの中心を担ってほしい」と期待を寄せました。

 パネルディスカッションでは、「これからの日本農業と食」をテーマに、農へのかかわり方や思いを語りました。

 全国労働組合総連合(全労連)事務局員の国吉綾乃さんは、労働者・消費者の立場から「国産の農産物を食べたいが、国産・有機は高くて手がでないという声にどう応えるのか」と問題提起。「サービス残業・長時間労働を強いられている労働者が、食と農へのかかわりをもつために、週休2日制、有給休暇の確保、最低保障賃金など労働者の権利の確立が重要」と述べました。

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(左から)司会の杵塚さんと報告者の国吉さん、伊豆さん、高坂さん、相澤さん、志野さん、ジェイミーさん

 有機農業への取り組み交流

 長野県阿南町で養鶏と和牛の繁殖に取り組む伊豆より夏(か)さんは、都会の女子大生とともに地域の農業青年が取り組んだイベントにかかわっています。さらに鶏ふんや牛ふんをたい肥化して地域の農家に提供する循環型自然農法と家族経営農業について報告しました。

 東京・池袋のオーガニック・バー「たまにはTSUKIでも眺めましょ」の店長、高坂(こうさか)勝さんは、サラリーマン生活をやめ、収入は半減したが、休暇を増やし、稲作に取り組む“減速”した生き方としての「農」を紹介。「みんなが半農半Xすれば農は守られる。自家栽培の有機野菜も食べられる」と語りました。

 新潟県十日町市の稲作農家、相澤堅さんは「有機農業は本来のあり方なのは事実だが、有機だけでは人手がかかり、高齢化した山間地で続けるのは困難だ。日本の自給率を考えれば農薬を使わないのは難しい」と指摘しました。

 千葉県の有機農業グループ「あいよ農場」の志野佑介さんは「有機農業も需要と供給のバランスを保っていけば拡大できる」といいます。また「農業を志す若者が集まる地域にしたい」と、農地を確保し、ファーマーズ・マーケットで販売するなど、地域のなかで楽しみながら農業に取り組んでいます。

 アメリカ出身の大学院生、ジェイミーさんは、日本でも富裕層が有機農産物を、低所得層が輸入品を食べることが現実化していることを紹介し、「TPPに対抗するためにも地域で支援する農業が大事」と語りました。

 農民連の元代表常任委員の小林節夫さんが「草の根から新しい技術が生まれる。無鉄砲でもいいから有機農業への挑戦を」とビデオでメッセージを寄せました。

地域で活発に青年部づくりを

 輸入食品に負けない工夫をぜひ

 その後、参加者はグループに分かれて討論し、「TPPを跳ね返すためにも、報告のような実践を通じて、輸入食品に負けない農業のしくみづくりが求められる」ことを確認。「つながりが希望を生む。地域で仲間とつながり、青年部を結成しよう」と誓い合いました。

 2日目の総会では、地域から世界レベルまで、多様な実践を報告し、活動方針を採択、新しい役員を決めました。総会に先立ち、日本共産党の紙智子参院議員(農林・漁民局長)が来賓あいさつし、「4月のいっせい地方選挙はTPP阻止の大きなチャンス」と訴えました。

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仲間を増やして地域で青年部をつくろう!

 ▼選出された役員(敬称略、すべて再任)
 部長=杵塚歩(静岡)
 副部長=岩渕望(福島)、植田修(京都)、高橋範行(和歌山)、星智也(山形)、坂本一石(分析センター)、会計=武田伸也(本部)


初参加者の感想

 多彩な人が集まった農民連青年部の総会。初参加の人たちに話を聞きました。

 つなげる役割したい

 岩井藍海さん(埼玉県志木市)=飲食店勤務= 消費者と生産者とのつながり方っていろいろあるんですね。私はつなげる役割を担いたいし、そういう場がもっと身近にあればいいと思いました。

 よりいい魅力感じた

 神山佳奈枝さん(東京都東久留米市)=会社員= 農業に対して、今まで以上に魅力を感じました。自分で野菜を育てたり、農家の話を聞いたりして、一人一人が農業に興味をもてば、もっと盛り上がるのでは。

 両親も来ていれば…

 古川美樹さん(東京都国分寺市)=デザイン会社勤務= 東京に来て7年になりますが、実家が専業農家で、農業が当たり前の環境で育ってきました。都会と田舎の距離がもっと近ければいいとみんなが思っているはずです。今日は両親にも来てほしかったですね。

 つながり感を感じた

 松井寛さん(愛知県)=新城農民連事務局員= 共通した意識をもっている人たちが参加しており、つながり感を感じました。パネリストの発言が、自分が考えていることと重なってすっきりしました。農業以外の他業種の人たちも、考えている方向は同じだとわかってよかったです。

 若い人がんばっている

 成尾和浩さん(千葉県成田市)=兼業農家= 慣行農業が悪者みたいにいわれていますが、なるべく減らす努力をしながらも、農薬や化学肥料は使わざるをえません。その点で、相澤さんの話には共感できました。地域に若い人がいないので、若い人ががんばっているのがうれしかった。

 青年部に入りました

 湯本真理子さん(長野県山ノ内町)=果樹農家= 交流会ではおやきを作りました。家はリンゴやモモを作っていますが、あわせて小遣い稼ぎで道の駅などにおやきを委託販売しています。農民連って何をするところなのかわからずに来ましたが、楽しくて、青年部の仲間になりました。

(新聞「農民」2011.2.28付)
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2011年2月

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