「農民」記事データベース20110228-962-06

「TPP」は食卓の問題

今年初の交流会 「食と農の未来」を熱心に討議

関連/飼料状況学び情報を交換


神奈川 生産者と消費者が手をつなぐ会

 神奈川県の「生産者と消費者が手をつなぐ会」は1月29日、海老名市で新春交流会を開き、参加者は100人を超えました。

 神奈川県農民連の安西肇会長が「TPP参加が検討されているが、自国の食料を確保することが大事。松沢成文知事は農産物の輸入自由化賛成の立場だ。食料をどう確保するのか、一人一人が考えなければならない」とあいさつしました。

 続いて、神奈川農畜産物供給センターと取引のある加工メーカーや生産者が、パワーポイントを使い自己紹介し、生産や加工の工夫と苦労が出されました。

 午後からの「食と農の未来を語り合う 産直Cafe」では3人の話題提供者が報告しました。

 手をつなぐ会安全委員会の岸美智子さんは、季節や地域性にとらわれない豊富な食材が手に入る一方で輸入食材が安く販売され、大型店舗による販売が主流になっている日本の食糧事情について発言。神奈川土づくり研究会の諏訪部明さん(果樹農家)は「野菜に含まれる硝酸態窒素が環境と食べ物の安全を脅かしている」と述べ、土づくりの重要性を強調しました。

 大和市の生産者、高橋康雄さんは、労働力の自由化や食料自給率の低下を招くTPPを批判し、「農家だけでなく消費者も声を上げることが必要だ」と訴えました。

 参加者からは「TPPは食卓の問題。『手をつなぐ会』の活動を全国に広げて、TPPを阻止したい」との消費者からの意見や、「新たに飼料米で育てる養豚に取り組みたい」など、生産者の力強い決意が語られました。

 参加した横浜市戸塚区の渡辺葉子さんは「TPPは農家だけでなく、消費者を含めた国全体の問題だということがわかりました。何ができるのか、小さなことから心がけていきたい」と話していました。


茨 城

飼料状況学び情報を交換

県西農民センター畜産部が「つどい」

 茨城県西農民センター畜産部は1月28日、恒例の「新春の集い」を開き、酪農家や肥育牛農家など11人が参加しました。

 畜産経営が深刻な危機にあるなか、(株)ゼンケイの高杉庄太郎営業主任を招いて、飼料情勢などを学習し、情報交換と交流を深めました。

 はじめに、本田豊畜産部長が「畜産物価格の低迷と飼料高騰が経営を圧迫しているところに、昨年は口蹄疫(こうていえき)、今年は鳥インフルエンザが発生し、暗いニュースばかりだが、みんなで力を合わせて日本の畜産を守っていこう」とあいさつ。ゼンケイの高杉さんは、乳用牛の飼料では今期に入ってトン当たり3600円も値上がりしている穀物価格高騰の問題について報告しました。高騰の背景には、これまで“災害には強い”とされていた遺伝子組み換えのアメリカ産トウモロコシが、天候の影響や連作と化学肥料・農薬で疲弊したほ場に大量の降水があったため、化成肥料が流失して予定より3分の1も減収になったことをあげました。そして「需給バランスが崩れ、通常は13%の在庫率が過去最低の4%にまで落ち込み、今後も値上がりが続くことは確実」と話しました。このためゼンケイでは、食品副産物などを使った発酵飼料の利用を推進していることが紹介されました。

 また情報交換のなかでは、鳥インフルエンザは野鳥が拡散させている例も多く伝染の防止が容易でないことや、韓国や中国などで猛威をふるっている口蹄疫では、いつ日本国内で発生してもおかしくないなどの話が出されました。このほか、TPP反対の取り組みや農民連・畜全協の活動にも大いに参加しようとの話も出されました。

(茨城県西農民センター 北嶋誠)

(新聞「農民」2011.2.28付)
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2011年2月

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