ますますパワフル、いきいき前進
女性の知恵と力で
TPP阻止しよう
農民連女性部第22回総会
関連/守りたい これぞ日本の食文化
「TPP参加は許しません!広げよう食糧主権の流れ」――農民連女性部の第22回総会が、2月10・11の両日、東京・文京区で開かれ、各地から100人を超える女性たちが集いました。厳しい農業情勢でも、ますますパワフルに、いきいきと前進する女性たちの発言に、会場は大きく盛り上がりました。
農業・食糧と地域に壊滅的打撃
「TPPに参加するな」というノボリ旗や、色とりどりの風船が会場を飾るなか、総会がスタートしました。
農民連の笹渡義夫事務局長が、「TPPを阻止し、共同と地域を元気にする核となる農民連をつくろう」と題して講演。「農業・食糧と地域に壊滅的打撃を与えるTPP参加を、なんとしても阻止しよう」と訴えました。
女性部長の久保田みき子さんが議案を報告。仲間つくりや、生産・加工・販売に大いに取り組み、女性の知恵と力をいかしたTPP阻止の運動などを提案しました。
会場わかした多彩な発言
ものづくりで未来切り開こう
討論では、熱のこもった発言が続きました。
「かきもちやのしもちなどの加工で、去年1年間で50俵分のもち米が売れて、加工の方がわが家の5ヘクタールの水田の収入より多いくらいです」と発言し、会場にどよめきを巻き起こしたのは、千葉県の香取美乃さん。「消費者はいま“本物”の食べ物を求めています。家族農業だからこそできる手作りがすごく喜ばれて、農家の自信にもなります」と笑顔で語りました。
愛知県の白井満里子さんは、女性10人でつくる豊橋農民組合しめ縄グループの活動を報告。「猛暑のなか青いワラを手刈りして、年末はしめ縄作りに追われますが、その後の収入を楽しみにがんばっています。10アールで100万円も夢ではありません」と元気に話し、会場を沸かせました。
青森県の新田文代さんは、都合で参加できなかった沖津由子さんに代わって、「9条なたね油」づくりを紹介。南部農民組合女性部では、全国連女性部の「9条花だんを作って、平和憲法を守ろう」という呼びかけに応えて、「9条花だん」づくりに取り組むとともに、ナタネ油の販売許可を取得。「9条なたね油」として販売し、品切れになるほど大好評を博していることを報告しました。

猛暑と鳥獣害農業は自然相手 自然相手のもの作りの苦労も出されました。愛媛県のミカン農家、宇都宮孝子さんは、「昨年はミカンの価格が15キロ箱で300円でしたが、今年は4500円。ところがこれまで経験したことないような猛暑と水不足で、売り物になる量がすごく少ないのです。その上、昨年はイノシシ、今年はヒヨドリの鳥獣害が深刻です。花が咲いたように皮だけが枝に残っています」と話しました。
埼玉県の阿南マチ子さんからも、昨夏の猛暑で県産米の主力品種「彩のかがやき」の大半が規格外になってしまい、農民連と食健連が中心になって、災害補償と消費拡大に取り組んだことが報告されました。阿南さんは、「当初は新米が売れず、1俵2000円で手放した話もありましたが、共同が広がるなかで支援米の注文が殺到し、事務所はうれしいパニックになりました。私たちの運動が県を動かし、世論を動かしたと実感しました」と発言しました。
想像力豊かに6つの大作戦で
TPPへの怒りの声も相次ぎました。北海道の堀優理さんは、「北海道の農業は高齢化と離農がすすみ、残った農家は大規模化しています。地域の病院が減って、高齢になると住み続けられないのです。戸別所得補償には少し期待したけど、実際には農産物価格が暴落。規模拡大すればするほど生活の見通しがたたなくなっています」と発言。「このうえTPPなんてとんでもない。今年息子が就農します。私たちの代でTPPを阻止できるよう全力をあげたいです」と述べ、大きな拍手がわきました。
総会議案にも盛り込まれている「TPP阻止の6つの大作戦」を訴えたのは、女性部事務局の藤原麻子さん。「6つの大作戦」――(1)学習大作戦、(2)署名と100円募金大作戦、(3)道端大作戦(田畑に看板やノボリなどをたてアピールする)、(4)シール大作戦(農産物にシールを貼ってアピールする)、(5)井戸端大作戦(対話する)、(6)様々な集会に参加して訴える――を紹介し、「想像力豊かに、女性ならではの運動を成功させましょう」と呼びかけました。
農業委員選挙に積極的に出よう
農業委員でもある千葉県の齋藤教子さんは、今年行われるいっせい農業委員選挙での積極的な立候補を訴えました。齋藤さんは、いま国では「2013年までにすべての農業委員会に女性委員がいるようにする」などの目標が閣議決定されており、自治体でも猛烈な勢いで女性農業委員を出す取り組みが始まっていることを紹介。「農民連の女性たちが積極的に農業委員になり、本当に農業を守るような意見を上げていきましょう」と訴えました。
胸はって農業したい
1人ぼっち作らず支え合いたい
5歳の娘を連れて参加した茨城県の椎名知哉子さんは、しんぶん「赤旗」に載った、「農作業で土日も休みがなく、3世代同居もつらい。ずっとこの生活が続くのかしら」という34歳の農家の女性の投書を紹介。「この女性は一人ぼっちなのでは。私も農民連や地域の女性部に行くと、農業のことも農家の生活のことも話せて、とても大切な場所です」と椎名さん。「一人ぼっちのお母さんをつくらないことも、農民連女性部の大切な役割だと思います。支え合えるのが農民連女性部ですよね?」と呼びかけ、会場は大きな拍手でこたえました。
最後に、久保田みき子さんが、「女性部が先頭に立って、TPPをはね返し、後継ぎが胸をはって継げるような農業にしていきましょう」と呼びかけ、閉会しました。
なお、日本共産党参院議員で党農林・漁民局長の紙智子さんが来賓のあいさつをしました。
女性部総会の目玉、夜の交流会には、今年も全国から100品目以上が大集合し、多種多彩な料理でテーブルがいっぱいになりました。
農民連会長の白石淳一さんが、中央行動から駆けつけ、あいさつ。「ここに並んでいる料理・食材こそ日本の食文化だということを、大きな声で強調したい。菅政権は、農業は企業がやればいいと言うが、こういう食材が出来るのも、日本の農業が家族経営で、手間ひまいとわず、丹精こめて農作物を育てるからです。日本の食文化を外国に売り渡すTPPを阻止する運動に、女性パワーを大いにいかしてください」と述べました。
踊りのコーナーでは、「三池炭坑節」を「TPPやめさせよう」節に替え歌にして踊り、大盛り上がりとなりました。
(新聞「農民」2011.2.28付)
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