鳥インフルエンザ5県15農場 殺処理110万羽超強毒性ウイルス 野鳥が運ぶ
養鶏場での高病原性鳥インフルエンザの発生は、昨年11月に島根県で発生して以降、2月7日までに、宮崎、鹿児島、愛知、大分の合計5県、15農場に拡大。殺処分となった家きんは、110万羽を超えています。 農水省の防疫指針では、発生農場の家きんはすべて殺処分、死体は埋却・焼却または消毒されます。また半径5〜10キロメートルの区域は、21日間以上、生産物や排せつ物などの移動が原則禁止され、GPセンター(注)や食鳥処理場は閉鎖となります(採卵養鶏では、規定の検査でウイルスがいないことが確認された場合、鶏卵の出荷は認められる)。 感染拡大が問題になっているのは、「H5N1」という型の強毒性のウイルスで、鶏が感染すると致死率はほぼ100%に達し、伝染力も強いため、養鶏業に大きな被害をもたらします。 今世紀に入ってから、高病原性鳥インフルエンザは世界各地で発生しており、現在、輸入停止となっている国はアジアを中心に59カ国に上っています。2004年のアジア諸国での発生では、1億羽以上が死亡あるいは殺処分されたと推定されています。 感染拡大の原因として強く疑われているのが、水鳥などの野鳥です。水鳥が持つ、本来は低病原性(症状が軽い)のウイルスが家きん類に侵入し、感染を繰り返しているうちに変異が生じ、高病原性ウイルスになったと考えられています。それがまた野鳥に逆感染し、世界に感染が広がっているのです。 食品として肉や卵を食べることで人間が感染した例は報告されていませんが、アジアなどでは養鶏業者など高濃度に家きんに接触している人が感染し、死亡した例が報告されており、警戒が必要です。 (注)GPセンター=鶏卵の格付け、包装、出荷を行う施設。
早く処理できたはず
愛知・渥美農民組合組合長 河辺正男さん 豊橋市の発生では、15万羽の処理に県や市の職員が当たっているが、ニワトリの扱いは素人のため、作業が遅れた。10キロメートル圏内には食鳥業者が2社あり、この業者に協力してもらえれば、もっと早く処理できた。対応の責任が県にあるため、市町村は県の指示待ちで、後手後手にまわっており、市町村の判断で対応できるようにしてほしい。 |
[2011年2月]
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