キューバ農業視察リポート
(上)
北海道農民連有志
経済封鎖され有機農法盛んに
北海道農民連の会員有志11人が、昨年11月11日から20日までキューバ農業を視察しました。野矢敏章さん(更別村)のリポートです。
旧ソ連崩壊で経済危機に陥った当時のキューバの食料自給率は、確か38%だった。それが90%を超えたという。しかも首都ハバナでは有機農場が多く、その農法が注目されているそうだ。38%の自給率とは、わが国の自給率とほぼ同じではないか。わずか20年たらずで90%? 首都で有機農場? しかもキューバは「社会主義」の国。なぜキューバの農民はがんばれたのだろう? 日本の農民は怠け者だから自給率があがらないのだろうか。“まさか!”。こうなったら現地を見るしかない!
キューバの現実日本に知らせて
キューバは夏は雨季で亜熱帯、冬は乾季で温暖な気候だ。農業視察では、農務省をはじめ研究センターや農民組合、農家などを訪ね、説明を受けながら質問した。共通して言っていたことは「キューバによく来てくれた。たぶん、あなたたちはこの国について良いことは聞いていないだろう。あなたたちが見た現実を、日本に帰ったらぜひ知らせてほしい」ということだった。
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カマグウェイ周辺の酪農家サン・ホセさんと記念写真 |
キューバの農業は、都市も農村も基本的には化学肥料も農薬も使わない有機農法だ。それはなぜかというと、アメリカから経済封鎖を受け、友好国であった旧ソ連が崩壊したため資材が手に入らず、そうせざるをえなかったという事情があった。国の研究機関では、あらゆる分野で微生物、酵素、忌避作物との組み合わせ、有機・自然肥料の開発などの研究が盛んで、その成果はすぐに現場で実践・普及される。また、原則としてモノの移動・輸送は5キロ以内としているため、都市での有機農場も多いというわけだ。
(新聞「農民」2011.2.7付)
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