「農民」記事データベース20110207-959-10

生協連・政策討論集会で発言

国の“あり方”が問われるTPP
生協連も社会的役割果たせ

おおさかパルコープ 佐保 庚生(つぐお)さん(農民組合大阪府連)


画像 日本生活協同組合連合会(日本生協連)は1月13、14の両日、東京都内で全国政策討論集会を開き、97生協から約350人が参加しました。この集会は、全国の生協役員・幹部職員が参加して、次年度の事業計画や方針の策定に向け、情勢や課題について共通の認識を持つことを目的に、毎年開かれているものです。今年は特に「生協の2020年ビジョン」づくりのための議論の場とも位置づけられました。

 この集会に出席したおおさかパルコープの佐保庚生さん(農民組合大阪府連)は、TPP参加に対する日本生協連の態度と果たすべき社会的役割の問題について、次のように発言しました。

 PTAより身近

 漫画家のやくみつるさんは、日本農業新聞で「PTAより身近な問題! DDTより毒性が強く! NTTより話すことが大切! TPP参加断固阻止、署名にご協力ください」と訴えていましたが、絶対にTPP交渉に参加を許してはいけないと思います。国土や天候など自然条件に大きく左右される農産物を、工業製品と同列に扱う市場原理に委ねることは不合理であり、食料・農業・農村基本計画で定めた食料自給率50%目標とも決して両立できないことは明らかです。

 影響は広く深刻

 これまでの各国の主張などを見ると、TPPは輸出産業か農業保護かという問題ではなく、食品添加物など食の安全基準の緩和、労働者の移動や投資の自由化、金融・保険業では郵政民営化の徹底や共済制度優遇禁止、医療への市場原理の導入、公共事業への外資の参加など、さまざまな分野で深刻な影響が心配されます。生協の事業や運動、そのあり方に大きくかかわってくる問題ではないかと思います。

 TPPを言い出したのは、アメリカと財界の総本山・日本経団連です。関税や規制など経済的な国境をなくして、貿易や外国進出でもうけられるのは一部の大企業にすぎません。人が生きていくために欠くことのできない食糧や、これを生産する農業、地域経済、国民の生活を犠牲にするTPPへの参加に待ったをかける、その立場を日本最大の消費者組織である日本生協連が明らかにすることは、全国的に大きく広がりつつあるTPP参加ストップの共同をさらに発展させることになります。生協の事業のパートナーともいえるJA全中は、TPP参加反対の1000万署名に取り組んでいますが、協同組合間共同の立場からも大事だと考えます。

 力を尽くすとき

 食糧危機の再来を予測させる世界の穀物価格の高騰が再び始まっていますが、いまこそ地域農業を発展させ、食料自給率の向上を具体的にすすめる農政への転換をめざして力を尽くす時だと思います。日本生協連が、「国のあり方」にもかかわるこの問題で、社会的役割を果たされることを強く期待します。

(新聞「農民」2011.2.7付)
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2011年2月

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