農民連第19回定期大会
来賓あいさつ
関連/各界からの祝電・メッセージ(順不同)
農民連大会であいさつした12人の来賓のうち、日本共産党、日本米穀小売商業組合連合会(日米連)、ビア・カンペシーナのあいさつの一部を紹介します。
農業と農民とりまく情勢は
農民連の“出番中の出番”
日本共産党 市田忠義書記局長
農民連は、結成以来「ものをつくってこそ農民」「安全な食料は日本の大地から」をスローガンに、たいへん大きな役割を果たしてきました。心から敬意を表します。また、口蹄疫(こうていえき)の被害に対して現場からの要求を結集し、幅広いみなさんとも協力して過剰米の買い入れを実現するなど、「農民連があってよかった」と言える活動ぶりでした。そしていま、日本農業と農民をとりまく情勢は、それこそ農民連の出番中の出番です。
民主党政権は、国民の期待にこたえるどころか、外交でも内政でも「自民党返り」の道をすすんできました。発足したばかりの菅改造内閣は、消費税増税とTPP参加推進という、アメリカと財界の要求に全面的にこたえる布陣を敷き、あからさまに国民に挑戦してきました。
菅首相は「平成の開国」と言いますが、農産物輸入の平均関税は12%で、すでに「開かれすぎ」の国になっています。参加しなければ「バスに乗り遅れる」と脅しますが、中国も韓国も、フィリピン、タイなどどこも乗ろうとせず、バスはガラガラです。
日本共産党は、いっせい地方選挙にむけ、TPP参加反対の声を大きく広げるとともに、日本農業の再生と食料自給率の向上を国政の重要課題に位置づけたアピールを発表しました。選挙の一大争点にして、TPP賛成議員は一人も当選させないよう、がんばろうじゃありませんか。
菅内閣が6月にもTPP参加の結論を出すと公言しているとき、「“日本の農民運動が団結して国民とともにたたかったのか”という痛恨の反省を踏まえスタートした」という、農民連創立の原点があらためて輝きを放つときだと確信します。TPP参加の断固阻止、みなさんの要求実現、新しい政治への展望をつくりだすために、ごいっしょにたたかう決意を表明します。
米屋も“米売って飯食えねぇ”
TPP反対を消費者とともに
日米連 長谷部喜通理事長
昨年、農家は米価下落で「米作って飯食えない」という状態でした。政府は、みなさんの運動もあって、遅ればせながら備蓄米を買い上げることを決め、最近は米価があがってきていますが、この時期にはほとんどの農家は米を持っていません。私たち小売業者も同じで、マスコミが高温障害で今年の米は質が悪いと宣伝したために、業務用の米は相当値段を下げています。そうすると、ここに来て値段が上がっても、米屋も「米売って飯食えねえ」という状況です。
安全・安心で付加価値のある農民連の米は、誠にありがたい。しかし、業務用の世界で競争するには、安い米も必要です。農民連の多収穫の米をいただいたが、大変おいしかった。付加価値の米だけでなく、多収穫の米で利益を上げることも必要で、そういう米も期待しています。
消費者は知らないうちに、ミニマムアクセス米77万トンのうち10万トンを主食用で食べさせられてきました。本年7月1日から米トレーサビリティ法で、消費者に産地情報を伝達しなければならなくなります。日米連に加盟している小売店では、納入している飲食店に「当店の米は国産米」というステッカーを貼らせています。輸入米を使っている飲食店はそのことを表示しなければならなくなり、今まで完売してきた主食用の輸入米が売れなくなっています。
消費者は、米が余っている日本で、どうして米を輸入するのか、その矛盾を感じていても、その結果どうなっているかはあまり知りません。TPPは、何か天から降ってきたような話ですが、一番大事なことは、ミニマムアクセス米の輸入と同じようなことにならないためにも、消費者を味方にすることです。
JA全中とも連携して、力強い反対運動を進める必要があります。私たち米業界も農民連とともに発展していきたい。
食糧主権の確立を世界中に
ビア・カンペシーナ国際調整委員会責任者のヘンリー・サラギさん
ビア・カンペシーナ国際調整委員会責任者のヘンリー・サラギさんからは、ビデオ・メッセージが寄せられました。
大会おめでとうございます。素晴らしい田んぼを持つ日本で行われる大会に参加できないことを、非常に残念に思っています。日本を訪れたこと、とくに農村を訪れたことが私の心に素晴らしい思い出として残っています。
食糧は商品でない
今日、世界の農民は、新自由主義政策のために生活は日々悪化しています。世界の飢餓人口も増加しています。この原因は、世界貿易機関(WTO)による新自由主義政策にあります。農業と食の部門でいえば「ベトナムの農民がどうやって日本や韓国の農民と競争できるのか。どうやってインドネシアと競争していくのか」など、想像できないような状況が起こっています。
私たちは、食糧を自動車やテレビのような貿易商品にさせておくのを許すことはできません。農産物は人々を養うためのものであり、食糧は単なる商品ではありません。食糧は生命そのものであり、異なる文化と生態系に依拠しています。肥よくな土地、森林、緑豊かな生物多様性を持つ日本で生きる農民が、必要な食糧を生産できるということを私は知っています。しかし日本は、世界貿易に回る食糧の10%を輸入していのです。新自由主義政策とWTO・FTA(自由貿易協定)のもとで、日本は輸入に依存する政策を取り続けています。
飢餓を打開するには
今日では、日本のような国だけが食糧を輸入しているのではなく、私の国インドネシアやフィリピンも食糧を大量に輸入しています。インドネシアは農業国ですが、多くの肥よくな農地が自動車のためのアグロ燃料と石油産業のために利用され、多くの水田がパームオイル農場や製紙原料の生産地に変わっています。
ビア・カンペシーナは、先頭に立って新自由主義政策とWTO政策に抵抗してきました。1996年には、飢餓問題を打開するための概念として食糧主権を提言し、各国政府に対し食糧政策の変更を要求しています。
私は、2005年12月に香港で一緒にたたかった経験から、あなたたちの強さとどれだけ戦闘的だったかを思い出します。北海道で、私たちの権利を主張したG8サミット行動を覚えています。
農民連の大会が、国内の行動と国際政策を分析し、農村に住む人々の生活を向上させる未来のためのプランを構築するうえで、大きな成功をおさめることを心から願っています。
世界の正義のために
農民連の友人のみなさん。あなたたちは、ビア・カンペシーナと世界の民衆とともに世界の正義を確立し、よりよい世界を築くためにたたかってきました。WTO・FTAを阻止するために新自由主義政策とたたかい続け、根本的な対案である食糧主権の原則を世界中で確立していくために、ともにたたかおうではありませんか。
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(新聞「農民」2011.2.7付)
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