「農民」記事データベース20110131-958-02

白石淳一会長のあいさつ(要旨)


画像 大会参加のみなさん。激動する情勢のもと、日本の農業・食糧、そして農山村を守り、安全で安心できる農産物を届けるために全力で奮闘いただいていることに対し、心から敬意を表します。

 全面自由化阻止

 今大会は、民主党菅政権のもとで、日本の農業・食糧、農山村の役割を全面否定し、アメリカや財界の要求に沿って日本の国そのものを変えてしまおうとする攻撃が行われているなかで開かれています。同時に、この策動を許さないたたかいも、急速に広がっています。

 TPP参加は、日本の農業・食糧、農山村はもとより、日本の進路にとっても重大な影響をもたらすものであり、今年のたたかいの最大の焦点は、TPPをはじめとする全面自由化を阻止することにあります。

 菅政権のTPPへの対応は異常なものです。昨年11月に閣議決定した「包括的経済連携の基本方針」では、「すべての品目を自由化交渉の対象」にすることや、「現在交渉中(ペルー及び豪州)のEPA交渉の妥結」「日韓EPA交渉の再開」「日中韓FTAや東アジア自由貿易圏構想など研究段階にある構想も交渉開始を実現する」など、全面自由化推進を明記しています。そのうえ「高いレベルの経済連携強化に向けて」「農業分野、人の移動の分野及び規制制度改革分野において」「適切な国内改革を先行的に行う」としています。

 また菅首相は、年頭の記者会見で「平成23年を平成の開国元年としたい」と強調し、「最終的な判断を6月ごろというのがひとつのめど」と述べ、全面自由化推進の方向を明確にしています。

 “開国”は亡国に

 この対応は、先の衆議院選挙で掲げた「国民生活第一」の選挙公約を投げ捨て、「開国」という言葉で新しさを演出し、財界とアメリカの要求にそって亡国の道につながる全面自由化を受け入れ、政権の延命を図る姿勢だと言われても仕方のないものです。

 そもそも、農業が困難に陥っているのは、輸入自由化の拡大と価格支持をやめ、市場原理だけに価格をゆだねた結果生まれている生産費を割り込む低い農産物価格にあります。農村に若者がいないのではなく、農業では「飯が食えない」ためやむを得ずほかの産業につかざるを得ないのです。

 食糧主権でこそ

 いま必要なことは、輸入自由化に道を開くことではなく、国内の自給率を高め、国民に安全で安心できる農産物を安定的に供給する体制を作ることです。このことを実現するためには、自国の食料を自国でまかなうという当たり前の理念、食糧主権によらざるを得ません。工業と農業を天秤(てんびん)にかけ、工業の利益のためには農業も食料も農村をも犠牲にしてかまわないという流れは、早晩破たんせざるを得ません。食糧主権は、自由貿易万能主義への根本的な対案であり、歴史の進歩の方向に合致するものです。

 今年は、なんとしても無謀で世界を破たんに導くTPPをはじめとする自由化の拡大を阻止しなければなりません。いま農林漁業はもとより、消費者も地方の経済界も、医療分野の関係者も、さまざまな立場を超えてTPPに反対もしくは懸念を表明して共同の運動に立ち上がっています。この運動をいっそう広げ、国民的な運動に発展させなければなりません。農民連は、この運動の核になって奮闘しようではありませんか。

 運動の蓄積生かし

 農民連には、ガット・ウルグアイラウンドやWTO批准阻止など自由化阻止の運動の蓄積があります。自公政治を退場させ、農民の声が政治に反映できる政治実現のために奮闘してきた実績があります。

 米価下落問題で、政府の責任を告発し続け、政府備蓄米の買い入れを実現させた粘り強い運動があります。多くの消費者のみなさん、とりわけ新婦人と取り組んできた20年に及ぶ産直運動での絆(きずな)があり、大企業の流通支配に抗して追求してきた中小の流通業者のみなさんとの準産直のとりくみがあります。

 そして何よりも、食健連とともに培ってきた食と農を守る国民的な運動と、食糧主権に出会った国際活動があります。

 このことをおおいに確信にして、農民連の持てる力を総結集し、国民的な共同を広げ、なんとしてもTPPをはじめ全面自由化の流れを阻止しようではありませんか。


選出された新役員(敬称略)

会長 白石淳一
副会長 堂前貢、根本敬、真嶋良孝
財政責任者 齋藤敏之
事務局長 笹渡義夫
事務局次長 上原実、松本慎一、吉川利明
常任委員 赤間守、今井健、小倉毅、久保田みき子、小林恭子、佐藤長右衛門、高橋マス子、坪井貞夫、野呂光夫、八田純人(新)、原弘行、宮沢国夫、村田深、目黒奈美子、森井俊弘、森谷精、森吉秀樹(新)、横山昭三、来住誠太郎(新)
会計監査 鈴木弥弘、早崎英夫、宇井正一
顧問 石黒昌孝(新)、大坪求、岡田厚美、小川洵、奥登、小林節夫、佐々木健三、重富健一、嶋岡静男、下山田虎之助、高橋嘉一郎、谷口一夫、飛田元雄(新)、中津孝司、町田拡、松倉多助、村尻勝信(新)、山口和男、山下始胤

各界から連帯のあいさつ(敬称略)

【大会1日目】▽日本共産党中央委員会書記局長 市田忠義▽全国農業協同組合中央会(JA全中)農政部長 今野正弘▽日本米穀小売商業組合連合会理事長 長谷部喜通▽全国労働組合総連合議長 大黒作治▽新日本婦人の会会長 高田公子▽ビア・カンペシーナインターナショナル代表 ヘンリー・サラギ(ビデオメッセージ)

【大会2日目】▽全国商工団体連合会会長 国分稔▽「軍事費削ってくらしと福祉、教育の充実を」国民大運動実行委員会事務局長 黒田健司▽全国革新懇代表世話人 三上満▽全国農協労働組合連合会中央執行委員長 国分博文▽国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会事務局長 坂口正明▽日本婦人団体連合会会長 堀江ゆり

(新聞「農民」2011.1.31付)
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2011年1月

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