新聞「農民」集計1月14日現在
全国に広がる「TPP参加に異議あり」の波
30道府県782市区町村(45%)で意見書
全市町村で採択――山形・富山・熊本・宮崎
TPP(環太平洋連携協定)への参加に対し、「反対」や「慎重な対応」を求める自治体の意見書採択が広がっています。1月14日現在の集計で、都道府県は30(「参加」を前提にしたものなどは除く)、市区町村は782(全自治体数の約45%)にのぼることが新聞「農民」の調べでわかりました。今後、さらに増える勢いです。
全市町村が採択した県は山形、富山、熊本、宮崎。あと1自治体と迫っているのが宮城、石川、滋賀、高知、佐賀、沖縄となっています。
菅首相が2010年10月の臨時国会冒頭に突如、TPPへの参加表明を打ち出してから、2カ月余りの短期間に半数近くの市町村が意見書を採択したことになります。
各都道府県や地域の農民連は、自治体や農協に働きかけ、「TPPに異議あり」の世論を高めるために大きな役割を果たしました。
2、3月議会に向けて、引き続き運動を強めることが求められています。
村で大反響・予想上回る1039筆
学習会に村長参加 全議員提案で議会請願
長野県の松川村農民組合は、「TPPへの参加」を表明した菅首相に大きな怒りを覚え、まず村の中で反対の行動を起こそうと立ち上がりました。
昨年12月9日開会の村議会に向けて、1000筆の署名を目標に行動し、1039筆を集め議会請願として提出しました。署名を集める中で、「いったい日本の政治はどうなるのだ。本当におかしい」「なにかあるといつも百姓が犠牲になる。こんなバカな話がどこにあるのか」など、多くの人が次々に怒りの声をあげました。「私にも署名用紙をくれ」と、短期間に40筆も集め、私たちを追いかけ手渡してくれた人もいました。
12月17日には、TPPの学習会を開き、村長も参加して農業を守る立場で発言しました。議会最終日の21日には、議員全員の提案で国に対してTPP反対を発信することが決まりました。
一歩前進したところですが、まさにたたかいはこれからです。日本の農業と地域経済を守るために、手を取り合ってさらに前進したいと思います。今回の取り組みを通じて、農民組合の大切さと同時に、組織の弱さも痛感しました。農民どうしが本気で手を取り合い、その先頭に立つ農民組合として前進する力をさらに蓄えていきたいと思っています。
(松川村農民組合長 平林久人)
長野・上伊那農協
トラック70台連ね市民に広く呼びかけ
TPPで農村が崩壊すれば農協もなくなるという危機感のなかで、長野県の上伊那農協農政対策会議では、「多くの市民に呼びかけよう」とトラックでの伊那市内パレードを計画し、上伊那農民組合にも「ぜひいっしょに」と声がかかりました。
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伊那市内をパレードする軽トラの隊列 |
昨年12月8日、全部で70台のトラックが出て、市内を2つのコースに分かれて宣伝しました。上伊那農民組合は、「TPP反対」「食糧はお金で買えなくなる時がすぐ」などと書いたムシロ旗を掲げて宣伝しました。
(長野・上伊那農民組合 竹上一彦)
(新聞「農民」2011.1.24付)
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