「農民」記事データベース20110117-956-03

COP16(国連気候変動枠組み条約
第16回締約国会議)対抗行動に参加して
(上)

関連/TPP参加やめよ

 2010年11月29日から12月10日まで、メキシコのリゾート都市カンクンで、地球温暖化対策の国際的ルールを決める国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が開催されました。COP16の期間中、国連の会議と並行してビア・カンペシーナ(LVC)の対抗行動「生命、環境と社会の正義のための国際フォーラム」が開かれ、農民連から2人が参加しました。ビア・カンペシーナの行動や主張などを中心に紹介します。
(満川暁代)


地球温暖化と新自由主義が一体となって困難をもたらす

 約2千人がフォーラムやデモに

 中南米を中心に30カ国を超える国から集まったビア・カンペシーナ国際代表団、メキシコ国内の民衆団体、先住民組織、移住労働者の組織、環境NGOなどが参加した国際フォーラムは、情熱と活気に満ちあふれた力強いものでした。

「キャンプ」と呼ばれるフォーラム会場は、巨大な天幕に覆われた運動場で、鮮やかなスペイン語の横断幕がたくさん掲げられています。メキシコ各地の環境破壊の現場を訪ね歩いてカンクンに到着した2000人近いキャラバン隊が、文字通りキャンプしながら、連日のフォーラムやデモ行進に取り組んでいました。

 フォーラムでは、COP16の焦点、REDD(森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減)、バイオ燃料、鉱山やダムなどの開発問題、気候移民、水質汚染などのテーマ別に、連日パネルディスカッションが行われました。

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国際フォーラムの会場(「私たちの環境サミット」弘原海凪さん提供)

 重層的に農民の生活を破壊する

 印象的だったのは、気候変動や開発による環境破壊と、新自由主義がもたらす経済危機とが一体となって、重層的に農民や民衆の生活を破壊しているという報告が相次いだことです。

 「多国籍企業による鉱山開発で、農民と住民の生命である水が汚染され、コミュニティが破壊されている」(メキシコの農民組織)

 「途上国では異常気象による不作と、自由貿易による農業と地域経済の破壊が重なり、多くの農民が先進国への移民を余儀なくされ、無権利状態で重労働に就いている」(メキシコからアメリカへの移民労働者組織)

 「クリーン電力という触れ込みで水力発電の超巨大ダムが造られ、水質汚染や森林・農地の破壊が進み、土地を追い出された農民がバイオ燃料のサトウキビ・プランテーションで奴隷同然の労働者になっている」(ブラジル)

 そして「こうした自然と資源と人々を収奪する資本主義こそが、現在の地球温暖化を引き起こした張本人であり、この経済システムを変えることが、今、温暖化の解決のために求められていることなのだ」(LVC初代国際調整委員のラファエル・アレグリアさん)という指摘が、フォーラムを通して、さまざまなパネリストから繰り返されていました。

 子どもたちの未来のためにも

 さらに印象的だったのは、ニカラグアの女性先住民が「多国籍企業は巨大だが、私たちが声を上げなければ何も変わらない。粘り強くたたかえば、いつか必ず政治を変えられる。子どもたちの未来のために、地球温暖化も必ず解決していかねばならない」と呼びかけたように、中南米のビア・カンペシーナの農民たちが、希望と確信をもって、運動に立ち上がっていることでした。

 困難にも断固として立ち向かうこのような姿勢は、温暖化をめぐる国際交渉が迷走を続けているなかで、あらためて運動の未来をも明るく照らし出しているかのようでした。革新政権を次々と誕生させる中南米の政治変革の大きなうねりが、地球温暖化や環境破壊をめぐるたたかいにも深くつながっていることを、肌で感じることができました。

(つづく)


TPP参加やめよ

食健連 今年初の宣伝行動

 全国食健連は1月6日、東京・新宿駅西口で「TPPへの参加はやめさせよう」と、新年最初の宣伝行動を行いました。

 農民連や新婦人、全労連、全農協労連、自治労連などから20人余が参加し、宣伝カーから訴え、ビラといっしょにミカンやペットボトルに入れた米を配布しながら署名を呼びかけました。

 「TPPって聞いたことがある。大変なことですよね」などと話しかけてくる人がめだち、88筆の署名とカンパが寄せられました。

(新聞「農民」2011.1.17付)
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2011年1月

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