「農民」記事データベース20110117-956-02

農水省が備蓄米18万トン買い入れ決定

農民連の要求の反映であり、
運動の成果抜本的転換を求め、
さらに運動強める

2010年12月25日 農民運動全国連合会会長 白石淳一

関連/農民連第19回定期大会のご案内

 農水省は、政府備蓄米として2010年産米を最大18万トン買い入れることを決定しました。農民連は、農水省がこの方針を与党に示した段階で、次のような会長名の談話を発表しました。


 、12月24日、農水省は2011年3月までに、10年産米を最大で18万トン買い入れることを与党に示した。これは、11年産から播種前契約で買い入れるとしてきた方針の大転換で、政府が「適正備蓄水準」とする100万トンの枠で、不足する5万トンと、品質が劣化している05年産米13万トンを非主食用処理する“棚上げ備蓄”によるものである。

 農水省は、JAグループなどが計画している米穀安定供給確保支援機構の基金を活用して、13〜17万トンを飼料米として処理することを事実上、容認しており、政府米の買い入れとあわせれば30万トン以上の米が市場から隔離されることになる。

 これは、棚上げ備蓄による備蓄米の買い入れを一貫して主張してきた農民連やJAなどの要求の反映であり、運動の成果である。

 、同時に、2010年産米の価格下落で苦しむ農家の対策を求める切迫した要求に対し、「下落しても米戸別所得補償モデル事業で補てんされる」として背を向け、下落し続ける米価を放置してきた農水省の責任がきびしく問われなければならない。

 年の瀬を迎え、農家が史上最低価格の米をほぼ出荷し終えたなかでの買い入れ方針は、あまりにも時機を逸したものといわざるをえない。下落し続ける米価は、米流通業者にも重大な困難をもたらしてきたが、深刻な不況のもとで、大幅に下落した米価の回復は容易ではなく、今後、流通の混乱は避けられない。

 早い段階から10年産米価の暴落を懸念して対策を求めてきた農民・国民の声に応えて、なぜ適切な時期に対策をとらなかったのか、糾明されなければならない。

 、自公政権時にスタートした「米改革」で、政府が価格と流通への責任を放棄して以来、一時的な上昇をはさみながら、全体として米価が下落し続け、米流通の混乱も繰り返され、国民の主食である米の再生産と安定供給が脅かされてきた。国際的な食糧危機のなかで、もはやこうした事態を放置することは許されない。

 農民連は、当面の備蓄米の買い入れにあたっては、直近の生産費を償う価格で買い上げることを要求する。同時に、政府が米価と米流通に責任を持ち、生産費を償う価格保障を軸に、所得補償との二本立てによる対策をとるよう、改めて要求する。同時に、不要なミニマムアクセス米の輸入中止と、ゆとりある200万トン規模の備蓄の実現、棚上げ備蓄への抜本的転換の実現を要求し、業界や国民との合意を広げて運動を強めるものである。


農民連第19回定期大会のご案内
1月19日(水)午後1時30分〜21日(金)正午
会場 東京・「大田区産業プラザ」
(京浜急行「京急蒲田」駅徒歩5分、JR京浜東北線「蒲田」駅徒歩15分)
*19日の夜に「大会記念レセプション」を開催

(新聞「農民」2011.1.17付)
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2011年1月

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