「農民」記事データベース20110103-955-07

ビア・カンペシーナ東南・東アジア
青年交流会に参加して

農民連青年部副部長 植田 修(京都)

関連/はつはるに翔ぶ

 ビア・カンペシーナ東南・東アジアの青年交流会が、昨年11月22日から26日までインドネシアで行われ、地元をはじめ日本、韓国、台湾、カンボジア、フィリピン、タイ、東ティモールから20人以上の青年が参加し交流しました。日本からは、農民連青年部長でビア・カンペシーナ東南・東アジア青年代表の杵塚歩さんと、京都でお茶の生産をしている植田修さんが参加しました。植田さんのリポートです。


アジアの農業を知らなさすぎた

選択されにくい農業を最良の職業選択にしたい

 各国の情報に大衝撃

画像 青年交流会では、各国の農業生産者、農業青年支援グループの関係者が、各国それぞれの農業事情について、現状を情報交換しました。そして、それらの問題点について、今後国際レベルでどういう方向でアクションをおこすかなどを話し合いました。

 まず私は、アジア各国の農業がどのような危機に直面しているのか、その認識が不足していたことに戸惑いました。ある国では、日本のように農地を守る法律がいっさいないために、政府や大規模な企業、土地所有者の間でバイオ燃料用の原料を生産するプランテーションをつくる話がまとまると、広域な地域のすべての農家は何の相談もなくいきなり追い出され、生産作目を決められ、プランテーション畑にされ、従わなければ警察に強制的に追い出され、連行されるという話を聞きました。

 また別の国では、特定の農薬に反応しない品種改良を何度も重ねた種子や苗を売りつけられ、もともとその土地にあった原種の作物を追い出し、農業が種子や農薬の企業によってコントロールされている現状を聞きました。

 そうしたなかで、危機感を持った生産者や支援団体が立ち上がり、政府や警察の圧力に負けずにデモ行進をしたり、有機農業を普及している活動の事例なども聞くことができました。それでも、リーダーたちが警察に不当に逮捕・連行されたり、暗殺されたりしているという話も聞き、衝撃を受けました。

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無農薬でつくった野菜をはじめて産売所に出したインドネシアの青年たち

 この経験生かすには

 交流のなかで、ある国の青年が「農業という職業は若者にとって最後の選択職業(ラストチョイス)だ」という発言をしたことには衝撃を受けました。私にとって、農業はほかの職業を経験した末に、将来のライフスタイルを考えたうえでの“ベストチョイス”だったからです。

 金銭的にも肉体的にも将来的にも、選択されにくい農業という職業を「ラストチョイスからベストチョイスへ」というイメージにどう変えていくか。青年交流会を終えて帰国したいま、日々考えています。

 今回の貴重な経験を今後の農業や生活にどう生かしていくか、まだわかりません。しかし、この青年交流会に参加した自分の中で、また何かの思考が動き出したことだけは実感しています。


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茨城・小美玉市 久保田紀子

(新聞「農民」2011.1.3付)
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2011年1月

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